韓国人のBoyfriend【JK】2

93話 ページ43

隣に座ったからといって
何にも喋らないジョングク君は
ありえないぐらいの速さで、
ただビールを飲んでた。



私もどうしていいか分からなくて、
カシスオレンジを体の中に流し込む。




“久しぶり”

“びっくりした”



とかそんな声かけをするタイプではない彼と、

同じタイプの私は、

それぞれ楽しそうに喋り始めた3組に
取り残されるように、

二人だけずっと黙ってお酒を飲んでいた。







3杯目を飲み終わった所で、
帰ろうって決意した。


もうこれ以上お酒は飲めそうにないし、
かといって、お酒を口にしなかったら、
話すこともないのに、
何をしたらいいか分からないし。






「……私、帰ります」


みんなに聞こえるように
少し大きな声でそう言って、
テーブルに会費を置く。




周りの

“もう帰るの？”
“えー”
って声は聞こえないふりをして、外に出た。







少し肌寒いような気がした。
薄着だったかな……って考えてると、










『Aちゃん』







…………もうその声で呼ばれる事は、
ないって思ってた。






振り返ると私に近づく彼。



距離が近く感じて、少し身構えると、
それを感じてか、
ジョングク君は一歩また後ろに下がった。


ちゃんと顔を見ると、

あっ、ピアスつけるの止めたんだとか、

髪短くなってるなとか

そんな事を考えて彼を見つめる。








『……久しぶり』

って言ったジョングク君の声が、
少し震えてた気がして。

寒いのかな？
そう思った。





｢うん、｣


『……びっくりした』


｢うん、｣

『……元気だった？』


｢うん、｣


あぁ、もう。
“うん”
しか口に出来ないなんて、どうなってんの私。







『……送るよ、家どの辺？』



「あっ、えっと、西大門区の方、」







会社の寮は歩いたら20分ぐらい。




タクシー拾おうとかそんな話にはならなくて、
黙って二人で歩き始めた。





バイト終わりにいつも送ってくれてた時みたいに、
ジョングク君は自然と車道側を歩く。







『……えっと、あの、』




口籠もりながら
何かを口にしようとするジョングク君を見て、

胸がぎゅうぎゅうに締め付けられて、苦しいよ。

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