韓国人のBoyfriend【JK】2

91話 ページ41

カシスオレンジが零れ落ちる。



〈わ、大丈夫？
かっこよすぎてびっくりした？〉



テヨンの声が入ってこない。







……………ジョングク君だったの？







“ずっと忘れられない元カノがいる”








さっきの会話を思い出して、
一瞬だけ勘違いしそうになったけど、
直ぐに思い直した。







ジョングク君の忘れられない人……

それはきっと………。

もう韓国にいないって、
ボラさんは一体どこにいってしまったんだろう。







「ごめん、」

近くにあったおしぼりで、
濡れてしまったテーブルを拭きながら
私は下を向いた。

顔を上げる事が出来ない。






周りに見向きもしない様子のジョングク君は、
私に気づいていない。

今更会う勇気なんかあるわけなくて………。

彼に顔を見られないよう、
ひたすら、
もう綺麗になってるテーブルを拭き続けた。








『俺、やっぱ帰るわ』



近くでジョングク君の声が聞こえる。



《は？何で？》


『顔出すだけでいいって言ったじゃん、』


《お前ほんと空気読めって、》






彼は相変わらずらしい。

見た目も中身も、喋り方も変わっていない。



ジョングク君は方言を直すつもりはないらしく、
ミンホ君は、さっきまで標準語だったのにジョングク君と喋り始めると、
つられて釜山弁になってるようだった。





〈Aも帰るって言うし、寂しいよ〉






名前出さないで。

そう思っても遅くて、気が動転した私は、

思わず顔をあげた。








その瞬間、
ジョングク君と目が合ってしまって………

何を口にしたらいいか分からなかった。

どんな顔をすればいいか分からなかった。

ただ、私もジョングク君も黙っていた。







《グク？ぼーっとしてどうした？
やっぱ帰る？》


ってミンホ君が言うと、
ジョングク君はやっと口を開いた。




『…………やっぱり帰らない』

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