韓国人のBoyfriend【JK】2

76話 ページ26

新しいバイトを始めた。

夜11時から朝の5時まで、
ビジネスホテルでの受付。



選んだ理由は何個かあって。

大学から離れてて、
でも通える距離で、
あんまり人と会わない時間帯に働ける、
そんな場所。






女の子が夜中の受付するときは、
危ないから絶対ペアは男性って決まってる。

私といつも一緒の時間に仕事するのは、
ユンギさんっていう
ジョングク君並みに無愛想な人。




無口であんまり喋らない、
だけど、たまに缶ジュースとかおごってくれたり、
謎に話聞いてくれたり、

冷たそうな見た目の割に案外優しくて、
気を遣わなくていい、そんな人。





この時間あんまり人の出入りはなくて、
ゆったりしてるから、
韓国語の本を読んだり、結構自由な仕事。





隣のユンギさんも何か読んでる？
ん？本じゃない？楽譜？



じっと見てたのがバレたのか
《なに？》
ってこっちも見ずに言われて、
何か分かんないけど、
｢ごめんなさい｣って言ったら、



《韓国語まだ勉強してんの？》
ってこっちに顔を向けて、
私の本を指差した。






｢えっあっ、はい｣


《ペラペラじゃん》


｢そんな事ないです。
方言とか結構聞き取れなくて、｣


《あーね、釜山弁とか？》





釜山ってワードだけで
ドキッとしてしまう私はきっと重傷だ。




《てか、何で韓国来たの？
日本の方がいいじゃん、》


｢夢があって……｣


《夢？へー、
夢破れたみたいな顔してっけど、》


なんて鋭いツッコミに胃がキリキリ痛む。
夢も希望もないみたいな顔してるんだ、私。




｢1つの夢は破れちゃったんです、
でももう1つの夢があるから、
まだ韓国で頑張らなきゃって｣


《2つも夢あったの？欲張りだねー》

ってユンギさんは手元の楽譜を眺める。



《頑張らなきゃって何かきつくない？
もっと緩ーく生きれば？》



｢ゆるく？｣


《頑張らなきゃも分かるけど、
1つ夢破れたんなら、ちょっとはひと休みしたらー？》

って、欠伸して、
んーって言ったと思ったら、
《ちょっと寝ていい？》
なんて言う。





「ユンギさんは緩すぎです」

って言ったら、彼は笑って、

私もつられて笑った。

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