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今更本当に遅い。
ジミンの両手は私をしっかり離さないし、幸か不幸かここには紛れもなくジミンと私しかいない。
映画館の様に暗転明転する事もない。
誰もいないのだ。
誰も。
意識があるのかないのかも分からないくらいジミンの唇に溺れている。
最中、唇を離したジミンが小さくハァと息を吐いて肩に置いたままだった私の手を掴んで
「手はこっち」
低く囁いて自身の首に回す様に誘導した。
ジミンの一挙一動にいちいち反応してしまう私の心臓はとっくに壊れてしまったのかもしれない。
ジョングクの部屋と違って暖房の音もしない。
ただ耳の奥にキスの音と時々ジミンの呼吸する音が振動するように鳴ってるだけ。
好き。
どうしようもない程。
気をつけようがない程。
ふらつく足が何かに取られて真後ろにそのまま倒れた。
柔らかい感触。
「危なかった…大丈夫？」
ソファだ。
ジミンも一緒に倒れたのに私を見下ろしながら途端に不安そうな顔をするから途端に恥ずかしくなった。
「、全然大丈夫、ソファがあって良かった…ジミニは？」
意図せず組み敷かれている状況も全てはさっきまでのキスが招いた事。
目のやり場に困る私とジミンは違うようだ。
私の質問に'ううん'と首を横に振ると私の頭を撫でて
「全然大丈夫じゃない、Aが可愛くて」
'
初めて見る鋭い瞳の奥に私が映っている。
ジョングクの言う通り"好き"って書いてあるみたいな顔だ。
私の上に跨ったままのジミンが上半身を起こすと一瞬少し険しい表情をした後で、着ていたニットを脱いだ。
白い肌に英字のタトゥー。
それから服の上から見ただけでは想像もつかない引き締まった身体。
その肌が少し赤く上気して見えた。
「A」
名前を呼ばれただけで気が狂いそうな状況。
「何しようか？」
余裕のある笑みを浮かべたジミンの言葉に何も答えられる訳がなかった。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年2月14日 10時
