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少し強めに引っ張られた耳たぶに瞬間的にチクッとした感覚はあったけれどその後はあっという間で。
「ね？一瞬だったでしょ？」
片付けの片手間にそう言ったジョングクの言葉通り。
鏡で確認すると私の両耳にたった5分前まではなかったシルバーがキラキラと光っていた。
本当に開いたんだという驚きと感動の少し後でじわじわと痛くなる、ではなく"熱い"に似た感覚。
穴が開いて異物があるのに何の代償もないわけないか、と納得して耐えられるレベルのやつだ。
暫く鏡を手にしたまま壊れた人形の様に首を左右に動かす。
「開けて良かったじゃん」
ジョングクが笑っていてやっと鏡を手放した。
「そ、ういう事にするよ、とりあえず」
「とりあえず、ね。素直にありがとうジョングガって言えばいいのに、気に入ってんじゃんそれ」
私が開けたのに開けた本人よりジョングクの横顔の方が嬉しそうで不思議だ。
悪戯っぽく笑うジョングクの髪が暖房の風で揺れている。
その髪を見てふと思い出してしまった、また。
冷たい風に靡くジミンの髪だ。
今さっきまでこの空間を楽しんで自分の両耳に光るピアスに浮かれていたのに。
そういえばジミンもこんな風に両耳にシルバーのピアスをしていた。
一つの事を全ての事をジミンに繋げてしまう。
ここ最近の癖だ。
良くない。
「ヌナ？」
開けたばかりの両耳に触れると熱い感覚が強くなった。
ジョングクに顔を覗き込まれて思わず身を仰反る。
「何？どうした？耳痛い？」
「、いや、違う、ただちょっと熱くて…」
さっきまで半ば強引だったジョングクの手が急に遠慮がちに私の耳に触れる。
「ごめん、ちょっと見るよ？大丈夫だと思うんだけど…」
左耳からジョングクの手の温度が伝わる。
ジョングクの顔が近くなる。
ジミンとは違う黒い目と至近距離でぶつかる。
ジョングクのその目がまるで口のピアスと同じ様に光を反射してキラキラ光っている。
「ジョングガーこれちょっと見てよー」
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年2月14日 10時
