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"好きな気持ち 消す 方法"
そんな馬鹿みたいな事を検索したのは生まれて初めてだ。
しかも検索したところで碌な名案がないと分かっていて、だ。
それでも何個か見て一番最多だった方法は"告白して潔くフラれる"だった。
それが出来る相手ならそうしたいのは山々だ。
むしろそれが出来るならこんな検索していない。
「さっむ…」
屋上庭園で携帯を見ていたが手が痛くなってきてやめた。
独り言が漏れたところで誰も聞いてる人はいない。
雪が散らつき始めたから、当然だ。
はぁと息を吐く度にすぐ白く浮かんでは消える。
特別寒い。
"ジミニの事好きになっちゃって"
"辞めさせられちゃった"
ジミンが頭を過ぎる度にその言葉も一緒に過ぎる。
好きな気持ちと一緒にその記憶も消せればいいのに、そんな方法頭を強めに殴らられる他無さそうだ。
今年何度目かの雪は小降とはいえ少しずつ庭園の植物を白く飾り上げて、まるでジミンに落ちる私みたいだと思った。
「ちょっとヌナ」
赤い椿にも白い雪が積もるのを見ていた所を大きめのアウターで頭まで覆ったジョングクが横切って終わる。
「ここで待っててとは言ったけど流石にこの天気で本当にここで待つってバカなんじゃないの？」
開口一番のそれは年上に向ける言葉ではないが、何故かジョングクらしいなくらいで納得してしまう。
だから私の隣の椅子に座らず立ったままのジョングクを見上げて
「バカでいいけどじゃあどこでピアス開けるのよ」
立ち上がらないまま、ジョングクではなく白く侵食される椿の花を見続けて言う。
雪の音をしんしんと表現する事があるけれど、正にそんな感じ。
その雪の音しかないみたいに沈黙が優しい。
返事が返って来なくてやっとジョングクに目を向けるとアウターのポケットに入れてた片手を出して
「来て、ちゃんと考えてあるから」
そう言って私の腕を掴んで引き上げた。
引き上げられた側の私はジョングクに半ば引き摺られる様に屋上庭園を後にする。
静かな屋上庭園と同じくらい静かな社内。
そこに私とジョングクの足音が響く。
静かで当然だ。
休日に会社にいるなんて物好きだと言われそうだ。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年2月14日 10時
