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部屋から出る前、磨りガラスのドアの向こう側に人影の様なものは見えないのは確認した。
冷やかしとは思わないがこれで誰も居なかったら今日は家に帰って一人でチキンを食べてやると決意した。

とりあえずドアを開けない事には始まらないみたいで、ドアを開けて通路に出る。


「A」


右を見て左を見た。
左側の壁に腕を組んで寄りかかってるジミンがいた。
少し控えたトーンで私の名前を呼ぶと'お疲れ'とすぐに笑顔をつくる。

面倒だとかチキンを食べるとか考えていた事がジミンの笑顔で跡形もなく消え去る。


「ジミンさ…じゃなくて、ジミニどうしてここに…?」


ほぼ言ってしまった後ではあるが、また怪訝な表情をさせまいと私なりに頑張った。
カッと耳が熱くなったのは変な言い回しになったせいか、ジミニなんて呼んだからか。
それとも何週間ぶりにジミンに会ったからか。

ジミンが'잘했어(チャレッソ)(上手)'なんて言うから耳から発火するかと思った。


「まずこれ、あげる」


カッカする耳を隠す為にさっき括ったばかりの髪を解く。
そんな私の前にジミンがコーヒーを差し出した。


「、ありがとう、ございます」


「また敬語、拗ねるよ?」


「あぁ、あーーー、ありがと…」


頬をわざと膨らませたと思ったら'冗談'とすぐ笑ったり、ジミンの表情は豊かだ。
もっと見たくて目が離せなくなる。

今日はシンプルな丸いピアスを両耳に付けていてその耳を触りながらジミンが'それから'と口を開く。


「今日の夜、時間ある?」


艶やある髪をかき上げたジミンの表情に身体がぐらつく。


「、え…夜はえっと、何もないけど」


「けど?」


「そうじゃなくて、何にもない、ただ何にもないって言いたかっただけ」


'なんだよ'と笑ったジミンが私の二の腕辺りを軽く撫でた。
何週間ぶりのジミンの香りが私の周りに漂っている。


「何もないなら良かった」


二の腕辺りを軽く撫でたジミンの手はそのまま撫でる様に下がって、コーヒーを持っていない方の私の手の小指だけを軽く握った。


「こないだの約束、果たせそうで」


私から決して目を逸らさないジミンの言葉。
その黒目にまた私が映っている。
戸惑いの表情と何かを期待している表現を浮かべて。

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設定タグ:BTS , ジミン , ジョングク   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:かむ | 作成日時:2024年2月14日 10時

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