月に叢雲花に風 (ページ15)

今日:80 hit、昨日:158 hit、合計:81,574 hit

15 ページ15

ジミンが戻って来たのはその直後で'何の話してたの？'なんて言うから

「ジョングギが私にタメ口使うって宣言してたところです」

ジミンが来る着前に手酌で半ば投げやりに飲んだのが功を奏したのか、何の躊躇もなくそう言葉が出た。
ジミンとジョングクの時が一瞬止まる。
いや、私が止めたのだ。

先に動き始めたのは椅子に座ったジミンで。

「おぉー？仲良くなったって事？」

「違います、ジョングギが勝手にやっただけです」

「いやヒョン、さっきヒョンがそう言ったから俺も敬語やめただけだって、笑」

大して目も見ないくせに。
ジミンが'仲良くなってる'と笑ったけどもう否定もせずにまた焼酎をくっと飲み込んだ。

別に平常心だ。
間近で見たジミンの肌が綺麗なのとジョングクの印象が変わった事だってしっかり認識している。
だから思わず飲んでしまった焼酎は二杯でやめた。

「Aはもう飲まない？」

お腹もいっぱいになったしコップも箸も持たない私にジミンが口を動きしながら聞く。

「明日の仕事に支障が出ると、まずいので」

'あぁそっか'って頷くジミンは大きいとはいえないがどこか魅力的な雰囲気のある目を細めている。

ジョングクの男性的な体型とは違ってジミンはどちらかというと女性的な滑らかな体型なイメージがあった。
でも髪をかき上げる手の動きとか、捲し上げた袖から出てる腕はかなり男性そのものだ。

それからふにゃっと笑う笑顔は可愛らしくて人懐っこいのに、たまにふと真逆のイメージの表情をしてる時がある。

「ね、A」

そしてその後者の表情を私に向けるジミンと目が合うと息が詰まる様な感覚がある。

「またこうやってご飯食べに来ようね、二人でもいいけど」

艶やかに微笑むジミンの言葉は私には刺激が強過ぎる。
'二人？'と思わず囁いてしまった私をジョングクは呆れて見ていたかもしれない。