＃５ ページ5
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順調に駒を進めているIH。
優秀な新入生がたくさん入ってきたけど、
結局スタメンは前回の春高と何ら変わりはない。
今日のアップでしっかりシート練しなきゃ、とか、
ペース配分自分たちで考えないと、っていうのを、
起きてすぐから考えていた。
今日は結構、いやだいぶ、厳しい日になると思う。
「おはよ」
『おはよ』
だから、昨日の夜に“朝ちょっと散歩しよ”って、
誘ってくれたのがとても嬉しかった。
「ちゃんと寝れた？」
『うーん、あんまりかな』
「ごめんな、呼び出して」
『ううん、結局寝れないと思うから大丈夫。 ツムは？』
「早朝デートが楽しみ過ぎてあんまり」
『ダメじゃん(笑)』
７月の朝六時は、既に太陽が昇っていて明るい。
だけど少し肌寒い。
大会の話をなるべく避けながら、
ホテル周辺の知らない土地を歩く。
自然豊かな公園を歩いてると、反対側から
見たことのあるジャージ姿の二人組が歩いてくる。
多分知らない人だし、声もかける必要ないな、
と思ってそのまま通り過ぎる。
「あれ、やっぱAだ」
彼女は私の目の前に立ち、道を塞ぐ。
その人は、かつて一緒にバレーボールをしていた同級生。
『久しぶり』
「朝からデート？？
へぇ〜、やっぱ“普通の高校”って恋愛できる余裕あるんだねえ」
声を掛けられてからこの状況はまずい、と思った。
中学のとき、一番相性が悪かった私たち。
同じコートに居たのに、誰も私たちを近づけようとはしなかった。
「まあ、実力は全部今日分かるんだけどね。
私たち、女王が勝つんだから」
『勝つのは私たち』
宣戦布告をしてされて、私たちは別方向へ向かう。
「あいつら新山女子？」
『そう。 今の喋ってた方は中学の同級生』
「ほーん、人相悪すぎやろ」
ツムの放った一言に、笑っちゃいけないんだろうけど笑ってしまった。
腹黒いとかじゃなくて性格の悪さが顔に出てる、普通に。
もう本当に、怖い。
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作者名：Ano | 作成日時：2020年12月2日 10時
