＃４ ページ4
−侑side−
『私もモテたい』
「…は？」
部活終わって一緒に帰ってる最中に、
急に衝撃的な発言をしてきた彼女。
IH近いから疲れとんのやろか？
大丈夫やろか？
『モテてみたい！』
「それ正気なん？」
『なんで？？』
無自覚すぎる彼女に、二度目の正気か、を心の中でツッコむ。
Aは、こんなんモテとるの内に入らんわ！、っちゅーことやな、きっと。
「これ以上モテなくて大丈夫です」
『え、私今もモテてないよ？』
「なんでそう思うん？」
『だって双子みたいに団扇持ってる人見たことないし、
キャーキャー言われないし、告白だってされないもん』
Aのモテる基準が可愛すぎてどうしよう。
全部俺(達)基準なのが愛おしい。
だけどアナタはそれ以上に凄いんだよって言いたい。
告白されないんじゃなくて、出来ないだけ。
キャーキャー言われないんじゃなくて、言えないだけ。
「十分、高嶺の花ですよ」
『うーん、ホント？？』
「ほんとやって」
自分で気づいてないなら納得も難しいのは分かるけど。
けども、今日のIH激励会の後、
Aを見に一年がめっちゃ教室来てたの俺は知っとるからな。
なんなら、「Aのこと見に来とるよ」って俺言うたやん。
そいつらに見せびらかすように髪の毛とか触っとったやん。
あ、俺が要らんこと言うたから彼女がモテたいとか言い出したんか。
いや、もうほんま、モテなくていいです。
「冗談抜きでもうモテんくて大丈夫です…」
『ツムがそんなに言うならやめとくね』
「そうしといて！
はぁー、今頃一年は絶望やろなあ〜〜！！」
『なに縁起でもないこと言ってんの？』
「高嶺の花が俺と付き合ってるって思ったら、
余計手に入らんって思うやろ？」
『ごめん、ちょっと良く分かんない』
「分からんでええよ」
悔しがってる顔を想像して思わず笑顔になる。
その笑顔を向けてAの頭を撫でる。
俺でさえ、高嶺の花やと思ったんや。
絶対誰にもあげへんから。
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作者名：Ano | 作成日時：2020年12月2日 10時
