＃２１ ページ21
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とある練習前。
「ねぇ、テーピング巻いて」
『えっ、いつも自分で巻いてるのにどうし』
「早くしろ」
『ワカリマシタ』
「A、テーピング巻いて？」
『ツムがテーピングなんて珍しいね』
「今日はなんか、巻きたい気分やってん…！」
『そっか(笑)』
・
とある試合前。
「コレ、あげる」
『預かっておきますね』
「今日寒いから来てなよ」
臣くんは公衆の面前で自分のジャージを、
私の肩にかけてきた。
「A！ 俺のジャージ持っとって！」
『あ、』
ツムは私の肩に乗ってたジャージを臣くんに投げ捨て、
自分のジャージを私に着せてきた。
「…邪魔」
「臣くんココに居ったん？！ 全然気づかんかったわ〜」
「……ハァ(白々しいヤツだな面倒くせえ)」
「せめて口に出してもろても？！！」
目の前の良く分からん光景に巻き込まれた私。
女性ファンがとりわけ多い二人故に、
“何あの人…”、みたいな視線を感じる。
『佐久早さん、宮さん、ジャージは預かっておくんで、
早く皆さんの所に戻ってください』
二人は“納得いかねえ”、と言いたげな表情をしながら
コートに整列しに行った。
なんなんだ…？
・
とある練習後。
『オーバーワーク？ …じゃないよなあ』
「だよな」
『うん…、明日からちょっと観察させてもらうね』
「よろしく」
怪我とは一番縁遠そうな臣くんが、
体の不調を訴えてきた。
トレーナーとしてとりあえず入念にストレッチをさせてもらう。
痛い箇所を重点的に全身やっていたら、
「おぉ！！ Aすげー！！！」
「Aさん、カッコイイです！！！」
『いや、コレ本業』
BJの元気代表木兎さんと日向くんがやってきた。
臣くんは“来んじゃねえ”と毒を吐いている。
二人に見守られながらストレッチは終了。
『明日、練習前にまた見せて』
「分かった、サンキュ」
「ハイ！ ソコぉ！！ オミぃいいい！！！！」
臣くんが私の頭をポン、としてくれたと同時に、
ツムが大声出しながら走ってきた。
急に大声出すから心臓止まるかと思った。
「Aが“仕事”で触るのはしょうがない、嫌やけど！
やけど“私情”でAを触るのは絶対に許さん」
アレ？
独占欲、悪化してない？？？？？
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作者名：Ano | 作成日時：2020年12月2日 10時
