等身大の青と春 Ⅲ【宮侑】 (ページ13)

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春高予選の前に無事に進学先が決まったからか、
最後の大会が三年間で一番調子がイイ。

「春の高校バレーも遂に次の試合で全日程終了となります。
先程の男子の試合もとても盛り上がりましたね！」

「本当ですね！やっぱりスポーツは最後まで何があるのか、
本当に分からないですねえ！」

「そうですねえ。先程優勝した稲荷崎男子に女子も続けるか、
注目が集まりますね！！」

「はい。女子の稲荷崎は、春高予選の初戦から昨日の準決勝まで、
一度もセットを落としておらず、完全勝利にも期待ですね」

泣いても笑っても、負けても勝っても、
私のバレーボール人生で最後の試合。

先輩たちがいる間に全国制覇はできなかったけど、
先輩の思いを受け継いで去年の春高とIHで優勝できた。

二度目の春高の決勝でも、意地を見せた男子に続きたい。

県予選からセットを落としてない、っていうのは、
特に意識してないから最後まで気にせずやっていきたいし、
何よりも最後の試合を楽しめたらいいな。

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現在第三セット、１６－２０。
二セット先取しているものの、
全セット通して初めてリードされている。

あと一個ローテを回せば私は前衛に行けるけど、
点が取れにくくなってきた。

少しずつ点差が焦りになってきて、ミスが増えた。

１６－２１。

今まで琉乃羽に言われたとおりに、
プレーでチームを引っ張ってきたから、
試合中にコートの真ん中に集めるとかはしたことがなく。
そういうのは琉乃羽がやってくれてた。

けれど無意識にコートメンバーを集めていた。
みんな、え？、みたいな顔してるのがなんとも言えない。

『気にすんなって監督とか言ってたけど、
ここまで来たら完全勝利したくなっちゃった』

自分でもビックリした。

バレーしてる時は無表情で無口だったのが、
この時だけは表情筋と口が活動したことに。