最終話 ページ15
・
数年後＿。
私は念願のメイクアップアーティストになって、
色々な男性アイドルなどのメイクを担当している。
「コンちゃーん！ メイクお願い！！」
「了解です！」
「なんか、コンちゃんじゃないと嫌だって言うのよ」
「そうなんですね(笑) ちょっと行って来ます！」
私は知り合いに“コンちゃん”と呼ばれている。
理由はキツネっぽいかららしい。
みんな名前に引っ張られ過ぎでは…？、と思う。
今日は雑誌の撮影があって、
それに出るモデルさんのメイクをする。
「こんにちは、本日のメイクを務めます“角名”Aです」
「よろしくね、“コンちゃん”」
「仰せのままに、“旦那様”」
「旦那様って響きがイイね」
「もう言わないから安心して」
本日のモデルというのは、
私の初恋の相手でありながら、
色々な初めてを奪っていった今では旦那の、
全日本でも活躍するバレーボール選手、角名倫太郎さん。
抜群のルックスで女性ファンが多く(ちょっと納得いかない)、
ファッション雑誌でもモデルとして活躍している。
「俺はAにしかメイクしてもらわない、っていう契約でしょ？
なに違う人にやらせようとしてんの？」
「だって他の人が倫太郎のメイクしたいって言うんだもん」
「じゃあ俺が他の人に手出してもいいんだ、こういう風に」
「ちょっ！？？」
「まあAにしかやらないし、興味ないけどね〜」
私はなんで倫太郎の膝の上に向き合うように座って、
彼の顔をメークアップしてるんだろうか。
「他の女性にこんなことやったら即離婚だから…」
「ヤキモチ妬いてんの？ カワイイ」
「ちょ、リップ取れるからキスしないで」
「また塗ればいいじゃん」
「そういう問題じゃない」
「あ、てか鍵閉めた？」
「閉めたけど！ 気づくの遅い！！」
「なんだ、用意周到だね〜」
「だからって変なとこに手を入れない…！」
・
私のコンプレックスは“顔”だった。
だけどそのコンプレックスに対して、
一番嬉しい言葉を毎日かけてくれる人に出会った。
誰かに“カワイイ”と言われれば、
自然ともっと可愛くなる不思議。
“私は人生が楽しくなかった。
だから私は人生を創造した。”
スッピンスナギツネ【角名倫太郎】
Fin.
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藍紗 - とても面白かったです！他の作品も頑張ってください！ (2021年4月26日 17時) (
レス) id: 6c34d89b1b (このIDを非表示/違反報告)
蒼霞 - すごく面白くて読みやすかったです！ (2021年4月25日 18時) (レス) id: 72ed056e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - すごく面白かったです！ずっとニヤニヤしながら読んでました笑。すごく読みやすく好みの作品に出会えて嬉しいです！他の作品の更新も頑張ってください！応援してます！ (2021年4月20日 23時) (レス) id: 976df8db05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ano | 作成日時：2021年1月21日 17時
