それでも、君と一緒に (ページ25)

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「ちょっといい？」

いつもの昼休みになると思っていた。
いつものように祥生とご飯を食べる所に向かおうと思っていたら、派手な女の子に囲まれた。
嫌な予感しかしないけど、断れる雰囲気でもないからおとなしくついていく。

度定番の校舎裏。
日陰になっていて肌寒くなった今の季節には寒いくらいだった。

「あんた、まじでなんなん」
「あんたが居るせいでこの子が祥生くんに振られたんやけど」
「マジで邪魔」

心無い言葉をかけられるが、これもなんだかんだ慣れてきている自分がいる。
だけど久々だったこともあり、その理不尽さに苛立ちが込みあがって。

「あんたが勝手に振られたんやろ、あたしのせいにすんなよ…」

いつもなら絶対に出ない言葉が出てしまった。

「お前…！」

あ、ヤバい。
そう思った時にはスローモーションみたいに派手女の右手が斜め左から振り下ろされるのが見えて、とっさに目をつぶった。

「なぁ、何しとるん」

予想していた痛みが走る前に聞き覚えのある声、だけどいつもより何倍も低くて圧のある声が私の耳に届いた。

勢い良く手を上げていた派手女達は情けない声で振り返った。

「見てたんやけど、何今の」
「いや、これはちゃうくて、その」
「何が違うん？俺の大事なA殴ろうとしたよな？」

祥生の右手に収まっているスマホからは、さっき派手女達が騒いでいた様子が流れていた。

「ちょっとやめてよ」
「何が？こっちのセリフなんやけど」
「だって…」
「振られた腹いせで責めるとかダサすぎ」

「金輪際俺とAに関わらんといて、俺卑怯なヤツ嫌いやねん」

いつもの億倍怖い祥生の言葉に慌てふためきながら逃げるようにその場を去った派手女達。
その背中を睨みつけていた祥生は誰もいないことを確認すると、私に向き直った。振り返るといつもの祥生だった。

「ホンマにごめん、まじでごめん、怖かったやんな？」
「良かった〜殴られなくて」
「A殴られてたら俺何人か殺すところやった」
「まって怖すぎ」

飛んでくるように近づいてきたと思ったら、とんでもない事を口走ってそのままの勢いで私を腕の中に収めた。

「だぁいじょうぶ、心配せんで」
「俺が大丈夫じゃない」

抱きしめてくれてる腕にグッと力が入る。その力強さと触れたら分かるガタイの良さに今更ながら祥生が男の子だと言うことに気付かされる。