それでも、君と一緒に (ページ3)

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好きだから、一緒にいたい。

でも、赤の他人と一緒にいるためには、
暮らしていくためには、それなりのルールと相手を想いやる気持ちも必要不可欠になる。

一緒に住むときに決めたルールも今や飾りみたいなもの。
家にいても大して会話もないし、お互いに気持ちを伝えあう事もしない。
絶対にお互い様な部分があったのに、汐恩一人に押し付けるみたいに言葉を投げた。

なんて自分勝手なんだ、私。
確実に言い過ぎた上に余計な事も足してしまった。
後出しじゃんけんみたいに、あれもこれもたくさん言って、汐恩からしたら「今更言うなよ」だよな。

ご飯って、食べ進めると大抵のものは温度が下がっていくよね。
オムライスもそうだし、カレーとかラーメンとか。
最初は熱を持って出てくるけど、時間が経てばどうしても冷えていくもの。

同じように、家を出るときに怒りと後悔で熱を持っていた私の頭も、ご飯を食べて、カフェの穏やかな空間で時間を過ごすほど冷えて冷静になっていく。

帰って、ちゃんと謝ろう。
そんで、ちゃんと汐恩と向き合って
ちゃんと話し合おう。

オムライスの最後の一口、少し冷めていたけど卵はふわふわで、これから彼のいる家に帰る緊張を少しだけほぐしてくれた。それと同時に私の機嫌も取ってくれた。

食べようと思っていたケーキは頼むのをやめて、レジで２つテイクアウトにしてもらった。
ショートケーキとチーズケーキ。
食べ物で許してもらおうとかそんなことは思ってないけど、やっぱり甘いもの食べて怒る人っていないから。
私が素直に気持ちを伝えられて、汐恩の話を聞いてから笑顔で食べれたらいいな。

小さな箱を持って、何時間か前に歩いた道をもう一度歩く。
いつもと同じ景色。さっきと違うのは、頭の中はすっきりしていること。

何から話そうか、どう言葉にしたら彼を傷つけないのか。
そんなことを考えながら玄関のドアを開けると、大きい足音と同時にドアから出てきた見慣れた顔。

「た、だいま…」

ゆっくり言葉を発すると、眉尻をこれでもかってぐらい下げて心底ホッとしたというため息と同時に、腕の中に収められた。