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大きな音を鳴らし、ガタガタ震えるスマホを布団に包まりながら止める。
もう四月になったが、まだまだ肌寒い。
寒くて布団から出られずにいると、温もりによってまた瞼が重くなった。
すると、二回目のアラーム音と同時に、扉の開く音がした。
「ほいほいほい。二度寝せんで、はよ起きよね〜」
アラームを止めて、バサッと包まっていた布団を剥がしてはそう言う幼馴染。
途端に冷たい空気が全身に纏わりつき、ぶるっと体を震わせる。
『…みなと』
「にゃは、なんや〜？」
『さむい、ふとん』
「三度寝するつもりなん？遅刻するで」
チッと舌打ちすると、にゃはは〜なんて阿呆みたいな笑い声が聞こえた。
「始業式初日に遅刻なんてしたらセンセーに目つけられるで？はよ起きて行こうや」
別に遅刻はしてもいいが、先生に目をつけられては困る。
渋々布団から出て、不破を部屋から追い出す。
去年とは違い、ゆるくした制服を着て部屋から出た。
「にゃは、何回も見たけどやっぱ慣れんね」
『はは、そのうち慣れるよ』
そんな会話を交えながら、キッチンから小さいパンを1つ取り口に入れる。
「あ、走らんと電車間に合わんかも」
『あー…おじさんに学校まで乗せてもらお』
走っても間に合わなさそうなため、仲の良い隣のおじさんに送ってもらうことにした。
『おじさん車出してー』
「またかいな。そろそろ早起きできるようになれ」
『ん』
耳にタコができるくらい聞いた言葉を適当に流し、車に乗った。
「全く…不破くんも、もう少し強引に起こしてもええんやからな」
エンジンを掛け、呆れながらそう言うおじさんに、不破は笑いながら言った。
「いやぁ、この起こし方のほうがスッキリ起きれるっぽいんで」
「ふはは、A思いだな」
「大切なんで」
よくもまあそんな恥ずかしいことを堂々と…なんて思いながら、隣にあった腕を叩いた。
「いや、痛くないんよA」
『…手加減してるだけ』
ぼーっと外を眺めていると、いつの間にか学校の前だった。
『ありがとおじさん』
「今日もあざっした！」
「次は無いからな〜」
なんて言って車を出すおじさん。その言葉を何回聞いたことか。
なんだかんだ言って優しい人なのだ。
「ひー、やっぱ寒いなぁ」
『んね』
「手繋ごや、暖取りたい」
『やだよ、絶対今不破の手冷たい』
「にゃは、バレちった」
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作者名：あうば | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2023年2月11日 14時
