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1預かり ページ2

ym.side
お母さんから引っ越すと言われたとき、ワクワクして楽しみだった。

でも、引っ越し先が海外だと知って急に何だか怖くなってしまった。

友達と離れるのも嫌だし、あの人と会えなくなるのが嫌だった。


母「ねぇ何でそんなこと言うの?この間は楽しみにしてたじゃない。」

山田「海外は嫌だ!友達と本当に会えなくなるし、親戚で集まるのも無理なんでしょ?」

母「そうよ。向こうと日本では時差があるし簡単に休める仕事じゃなくなるから、」

山田「嫌だ!向こうには行かない。一人でこっちに残る。」


もちろんお母さんは許してくれなかったけど、僕がどうしてもって言い続けたら預かってくれる親戚を探すことにしてくれた。

そこで僕は真っ先にあの人の名前を出した。


山田「伊野尾さんがいい。」

父「え!?伊野尾さんは遠い親戚だし、、ほら、おばあちゃんとかの方が安心だし、涼介も話しやすいだろ?」

母「そうよ。どうして伊野尾さんなの?伊野尾さんがダメってわけじゃないけど・・・」

山田「伊野尾さんは、、他の親戚よりここから近いし、友達とそこまで離れなくて良いじゃん。」

父「だったらこっちの方に来てくれるかおばあちゃん達に聞いて「嫌だ!」」

山田「伊野尾さんが良いの!」

母「まぁ、まだ引っ越しは先だし、ゆっくり考えましょう。伊野尾さんにも聞いてみるわね。」


正直、僕自身も無理だと思っていた。

伊野尾さんが僕のことを覚えていないかも知れないし、僕なんかのために何年も育ててくれるわけないから、

でも2ヶ月後、遊びに行くと言われて着いた公園には伊野尾さんがいた。


母「ほら、涼介挨拶は?」

山田「えと、、おひさしぶりでしゅ。山田 涼介です。」

伊野尾「フフッ、久しぶり。大きくなったね。」


約半年ぶりに聞く声は優しくて全てを包み込むような可愛らしい声だった。

挨拶が終わるとお母さんから、伊野尾さんと話すから遊んでおいでと言われた。

小学3年生の僕でも分かった。引っ越しの話をしているのだと。

しばらくするとお母さんから呼ばれた。


山田「はーい。」

母「涼介、伊野尾さんがね、涼介のこと預かってくれるって。」

山田「ほんと!?」

伊野尾「涼介くん、、本当に俺で良いの?」

山田「うん!お兄さんがいい!」

伊野尾「うん、じゃあよろしくね。」

母「また預ける日になったら連絡しますね。」

伊野尾「はい。涼介くん、またね。」


そう言って小さく手を振ってくれたのを今でも覚えている。

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作者名:百折不撓(ひゃくせつふとう) | 作成日時:2024年3月14日 14時

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