8.久しぶりに笑えた ページ8
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絶対に言わないもん。こんなやつに言うもんか。
山田『ダメ?』
伊野尾(ダメに決まってるでしょ。)
山田『じゃあどうやったら言ってくれるの?』
伊野尾(出会ってから3週間しかたってないのに言ってもらえると思ってるのが怖い。)
山田『だ・か・ら、どうやったら言ってくれるの?』
絶対にわかってないじゃん。面倒くさいな。
伊野尾(そもそも話せなくなった理由は誰にも言ってないの!)
山田『大ちゃんにも言ってないの?』
伊野尾(そうだよ。)
てかさ、ちょっと前から思ってたけどなんでタメ語になってるの?
俺先輩なんだけど。
山田『いいじゃん別に。仲良くなるためだよ。』
伊野尾(じゃあもういいや、)
山田『タメ語でもいいの?』
うなずくとすごく嬉しそうな顔をする山田。
そんなに嬉しいの?
山田『うん、嬉しいの。』
全部聞こえるの忘れてたわ。
もう何も考えないでおこう。
山田『え、やだ!先輩の心の声聞くと安心するというか癒されるというか、とにかく聞いてたいの!』
伊野尾(ただの心の声じゃん。)
山田『でも心の声はその人の本性が出るんだよ。先輩はすごくいい人だってわかる。』
伊野尾(何それ。)
なんか怖い。あんまり嬉しくない。
山田『えぇー?でも本当の声じゃないからこそわかることもあるんだよ。』
伊野尾(心の声って常に聞こえてるの?)
山田『聞こえないようにすることもできるけど、ほとんど聞いてるかな。』
伊野尾(体が壊れたりしないの?)
山田『ほんの少し眠くなるだけ。』
便利すぎる能力だな。
俺もそういう能力があればいいのに。
山田『そう?俺たまにこの能力がなければいいのにって思うけどな。』
伊野尾(なんで?)
山田『この能力がなければ昼休みも会いに来れるし、良い嘘をついてくれててもわかっちゃうからね。』
伊野尾(能力って大変なんだね。)
山田『でも今は能力が無くなられたら困るかな。』
伊野尾(どうして?)
山田『先輩と話せなくなるから。』
無くなればいいのに。
山田『ちょっ酷い!』
伊野尾「www」(面白い。)
山田『声には出てないけど笑ったな?w』
あ、今俺、笑ったんだ。
いつぶりだろう。
山田『笑ってる方がいいよ。まぁ正直な先輩も好きだけど。』
こいつのおかげで笑えたんだ。そこは感謝しないとな。
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作者名:百折不撓(ひゃくせつふとう) x他1人 | 作成日時:2023年1月29日 16時