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11:05 烏野高校第2体育館
「5本成功です!交代!!」
清水先輩の掛け声で僕はコートの外に外れた。
レシーブ練習。烏養監督がサーブを打って僕らがレシーブで返す練習らしい。
5本成功しない限りほぼずっと練習が続くだとか。
「お前レシーブ上手いなぁ。」
『別に………。最低限返しただけだから。』
やはり苦戦しているのは主に1年生だった。
僕は近くに転がっているボールをレシーブで軽く上にぽん、ぽんと上げて遊び始めた。
別にレシーブは得意じゃない。
というか、サーブ、レシーブ、トス、スパイク………
僕は全てに関して平均50点。
可もなく不可もなく、が1番似合う人間だと自負している。
「じゃあ午前ラスト、サーブ!!」
「「「アス!!」」」
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『………もっと、勢いに乗せて打った方がいいよ。』
いつの間にか、そう口走っていた。
目線は、隣で練習する山口くんに真っ直ぐ向いていた。
「え?」
急に話し掛けたからか、山口くんの目は点になっていた。
僕は慌てて口を抑える。
『………あ、突然ごめん。気になっちゃって。』
「いえ、全然大丈夫です、やってみます!」
何となく、見ていて惜しい所まで行っていたので気になった。理由なんてそれだけだった。
別に、手抜きとは言ったって教えられることは気が向けば教えるし。
お手本は見せてあげられないけど。
『頑張ってね。』
「………。はい!」
物言いたげな顔でこちらを見た後、元気な声で返事した。
ふっと笑みが零れた。……凄いな、なんか楽しそうだ。
「勢いに乗せる………。」
『…………腕は全体を使って大きく動かして、ボールは正確に浮かせて………で。見るのはボールでも手でもなく相手だよ。』
当の山口くんは“そんないきなり言われても”と言いたげな目をしていた。
まぁ詰め込んで言うのも良くないか。僕が実際にやるわけでもあるまいし。
『………あ、参考程度。鵜呑みにしないで、人それぞれだから。』
その後、山口くんは何か言っていたが、これ以上は言うことが無かった。
大体平均50の僕に言われても……って思うか、きっと。
僕は本来アドバイスなんて偉そうに言える立場では無いから。
今のはただの戯言だと思ってもらった方が彼のためにもなるはずだ。
そして、僕は山口くんに向き合うのをやめてフローターサーブを1本打った。
………うん、入った。
今日もいつも通りだ。
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ほし(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます〜!(*´˘`*)♡お気遣い嬉しいです!こちらこそ、今後とも当作品をよろしくお願いいたします!_(._.)_ (4月16日 20時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初めまして!思いきってコメント失礼します!!この神作に出会ってしばらく経ちますが、ほんとにめちゃめちゃ面白いです…!学業もあるということなので、色々忙しいかと思いますが無理せず更新頑張ってください!これからも応援しています!! (4月15日 17時) (レス) @page32 id: cd5bbf6078 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!勿論、及川さんとの絡みはこれからも深堀して盛り込んでいくつもりです……!少し待っていただければ幸いです! (4月14日 21時) (レス) id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - まなみさん» コメントありがとうございます〜!研磨との絡みはプライベートの話や合宿、ゴ決などで出そうと思ってます!研磨の出番かなり多くなると思うので楽しみにしていただければと思います……! (4月14日 21時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - コメント失礼します。十和くんが本気を出すの楽しみです(。•̀ᴗ-)✧できれば及川さんとの絡みが見てみたいです〜!これからも応援してます!!お体に気をつけて更新頑張ってください☺ (4月14日 20時) (レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほし | 作成日時:2024年3月21日 22時