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その施設は本当に出そうだった。
木造、少しボロ………趣のある建物で、いかにも怪談に出てきそうな風貌をしている。
残念ながら僕は、お化けなど非現実的なものは信じない性格だから、あまり怖くは無いが。
因みに、具体的に言うと、お化け屋敷に行った時、お化けに驚くのではなく隣の人の叫び声にびっくりするタイプだと言える。
入ると、例の甲高い声が建物中にこだましていた。
まぁ入る前から既に聞こえていたものではあるが。
「うおおおっ!うおおおおっ!!」
菅原さんに案内されると、その道中で色々な扉を開け閉めして騒ぐ日向くんがいた。
部屋一つ一つにいちいち感動しているので、最早清々しい。
あまりにも感動の沸点が低くないか……?
「お前ちょっと落ち着け。」
「だって!!合宿って初めてだしっ」
僕は合宿が好きではない。
同じご飯を食べて、同じ部屋で寝て、同じ風呂に入る。
プライバシーというものが何一つ無い。
というか、僕はパーソナルスペースが広いタイプなので、あまり人とずかずか関わることが得意ではない。
「一日中むさ苦しい連中と顔付き合して何が楽しいのさ。」
月島くん。大いに同意する。
やはり僕と君は価値観が似ているようだ。
「おい月島てめえ半径500m以内に潔子さんが居る空間はむさ苦しくねえんだよ!!」
「清水は家近いから、用事終わったら帰っちゃうよ。いつもそうじゃん。」
浮き足立ち月島くんに中指を立てる田中くんと西谷くんが、菅原先輩の無慈悲な一言により力が抜けたように倒れ込んだ。
そうしてまた、屍が増えた。
可哀想なものだ。(棒)
「あ、そういえば怪我、大丈夫でしたか?」
騒がしかった日向くんが不意にこちらを振り向いた。
『………あぁ、うん。それなら全然大丈夫。』
その一声を筆頭にして、田中くんやら西谷くんやらが再起してこちらに寄ってきた。
他の何人かも遠巻きにこちらを眺めたり、声を掛けたりなどしてくれた。
「ったく紕波はひょろっちいんだよ!もっと食え肉を!」
「十和ちょっとしか食わねぇかんな〜」
『………標準だと思う、君らがおかしいだけ。』
「おう、男子高校生運動部の食欲舐めんな!」
それは、遠回しに僕のことを男では無いと言っていることにならないか?
もう一度言う。
僕は至って標準だ。
この部活に僕と同じ標準の人間がいないから僕がおかしいという風になっているだけであって。
よくそんなに食えるもんだ。
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ほし(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます〜!(*´˘`*)♡お気遣い嬉しいです!こちらこそ、今後とも当作品をよろしくお願いいたします!_(._.)_ (4月16日 20時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初めまして!思いきってコメント失礼します!!この神作に出会ってしばらく経ちますが、ほんとにめちゃめちゃ面白いです…!学業もあるということなので、色々忙しいかと思いますが無理せず更新頑張ってください!これからも応援しています!! (4月15日 17時) (レス) @page32 id: cd5bbf6078 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!勿論、及川さんとの絡みはこれからも深堀して盛り込んでいくつもりです……!少し待っていただければ幸いです! (4月14日 21時) (レス) id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - まなみさん» コメントありがとうございます〜!研磨との絡みはプライベートの話や合宿、ゴ決などで出そうと思ってます!研磨の出番かなり多くなると思うので楽しみにしていただければと思います……! (4月14日 21時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - コメント失礼します。十和くんが本気を出すの楽しみです(。•̀ᴗ-)✧できれば及川さんとの絡みが見てみたいです〜!これからも応援してます!!お体に気をつけて更新頑張ってください☺ (4月14日 20時) (レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほし | 作成日時:2024年3月21日 22時