凡才なので。2【ハイキュー】

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「え、今朝とか、色んなとこで紕波が1年の……黒髪だったっけな、ソイツにガン飛ばされてんの見たって。」

「証言が各地から上がっております。」

「紕波が1年に目ぇ付けてるんじゃなくて？」

「ちゃうちゃう、1年に(・)紕波が目ぇ付けられてんの。」

「何それウケる。」



あーもう嫌だ、勝手にウケて勝手に噂しててくれ。と、心の中で悪態をついた。

というか現場を見たところで普通そんなに広めるか？

僕だったら絶対しないね、面倒事に自ら首を突っ込むなんてこと死んでもしない。



『で……？それがどうしたの？
別に目付けられてるのは中学からだから気にしてないけど。』

「マジかよ、お前流石にかわいそ……」

『だから可哀想とか今更関係無いって。』



シッシッと擦り寄ってくるソイツを邪険に振り払った。

心外！とでも言いたげな顔で泣き真似を繰り広げる様を横目で眺め、僕はため息をついた。



「一体何したん？」

『はぁ？君らに関係ないじゃん。
バレー部でもないし、大体君はバスケ部でしょ？』

「ごめん俺サッカー部。」

『あ、そう。』



お前の部活なんか知るか。

名前すら覚えてないのに部活なんて認知してるわけないだろ。



『まぁ……簡単に言うと、その子は死ぬほどバレーが上手いんだよね。
で、ゆる〜くやってる僕が随分気に食わなかったらしく。

会う度にメンチ切ってくるんだよ。』

「うへー、だるっ」

「お前北川第一中学だっけ？あそこバレー強いじゃん、よく手抜きで何とかなったな。」

『部員は多かったからね。僕の代わりなんていくらでもいたし。』



ほぇ〜、と他人事のように話を聞くそいつらを見て、“聞いたのはお前らだろ”と思う。

なんてめんどくさい奴らだ。




「まー、いっつも授業爆睡かましてるお前がバレー“ごとき”に一生懸命になるわけねぇわな。」

「1年の気持ちわかるわー、俺だってムカつくもん、コイツ(紕波)みたいな奴がチームにいたら。」

『そーそー、ごときごとき。ただの部活。』



チクリと心臓を針でつつかれたような感覚がした。

………バレー“ごとき”かぁ、とその意味を何度も何度も頭の中で咀嚼した。

まぁ、今の僕にとっては“ごとき”以外の何物でもないだろう、と無理やり結論づけて終わらせた。


多分、前までは好きだったんだろうなと。

僕は随分変わってしまったんだな、と自らの今までの言動を想起させながら。


もう一度、机に突っ伏し目を閉じた。

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