凡才なので。2【ハイキュー】

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「っ、何でそうやって凡才とか何とかばっか言うんすか……。
アンタは、そんなじゃないのに……。」



状況が飲み込めない様子でこちらの顔を伺う日向くんを見て、少し罪悪感が湧いた。



「アンタは、紛れもなく“天才”で、
北一の“白い創造主”だ。俺は確かにアンタのあのプレーを見ました。」



また、この目。
真っ直ぐとした嘘偽りの無い目。

この子のそういう目を見てると、僕自身が惨めに思えてくるのだ。


………それに、この子の言う僕に向けての“天才”という言葉が、僕自身の傷を抉る。

自分は天才なんかじゃない。

そうずっと自分に言い聞かせることで、
無駄に自分に期待してしまわないように、そうしていた。

だって実際僕は凡才だから、過度に自分に期待すると……

………失敗した時に、傷つくことになるから。



『その、君の賞賛の言葉と……憧れが、僕を傷付けるんだよ。』



お願いだから、もう誰も僕に期待しないで。

僕を勘違いさせないで。



『もう、僕なんかほっといて、自分のことに集中しなよ。
僕のことはもういいから。』



ね？と、影山くんの煮えきらぬ不機嫌な顔を覗き込んだ。


………誰かの話し声が聞こえる。

誰か……多分、いやきっとバレー部の人に違いない。



「俺は、ただ……『……ほら、みんな来た。

この話終わり。朝練始まるよ。』



確かな天才に、僕みたいな天才“だった”凡才が言えることなど無いのは明らかだし、

そんな逸材に憧れられるのもおかしいと思う。

ましてや、それがほかに広まるなんて以ての外だ。



「………俺は、アンタがどう言おうと、アンタの本気のプレーを待ってます。

だから、サーブも、スパイクも、レシーブも……全部、ちゃんと本気でやってください。」



………なのに、何で。



『そう。あんまり期待しないでね。』



なんで僕に執着するんだ。

………こういうところも含めて苦手なのだ。

中学のときから、ずっとずっと僕をキラキラした目で見て、

かと思ったら説教してきて。

バカ真面目に芯を曲げずに僕のプレーに期待をしているところが嫌いだ。


僕の落ちぶれた姿を見て、誰よりも傷付いたのは君だろうに。




馬鹿みたいに長ったらしい間を置きながら続いていた会話は、3年の先輩が来たことでようやく打ち切りになった。

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