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3、4年前。確か小学6年生のとき。
俺は、北川第一のバレー部の試合があると耳に挟み、体育館に見に行ったことがあった。
自分の進学する中学であり、
しかもバレーボールの強豪だと聞いたことがある。
どんなものだか気になった。ただの興味本位でしかなかった。
だが、そこで見たのは予想以上のものだった。
2年生__多分、あれは及川さんだろう。
その鋭いサーブ、スパイク、
他のレベルの高いブロックとレシーブ。
背も相当高い人達が集まっている。
今まで自分達がしてきたバレーと、ひと味もふた味も違って、驚いたのをよく覚えている。
それと共に、相手の学校の攻撃をもろともせずに点を入れてゆくその人達が、心底すごいと思った。
…………だが、1人だけ、その場で間違いなく不釣り合いであろう人が1人だけいたのだ。
160にも満たないであろう身長。華奢でいかにも弱々しそうな人だった。
紕波十和さん。
その人は、当時1年生だった。
1セットを制した後の第2セットは、この人のサーブから始まった。
初めからコートにいたから、スタメンで上手いんだろうなとは思っていたが、
正直、何でこの身長の人が。とは思った。
レシーブにもスパイクにも抜け目は無い。
むしろ上手い部類だとは思ったが、
1セット目は他の人に霞んであまり注目されていなかった。
俺も特に見てはいなかった。
だが、第2セット初めの1点を制したのは、
紛れもなくこの人のサービスエースだったのだ。
この会場の、全員が注目する中で迎えたこの第2セット目の初めのサーブで、
その人は何一つ動じることなく、
冷静に、淡々と、そして堂々とサービスエースを決めて見せた。
北一側のコートの反対側から見てたからこそわかる、その時の紕波さんの視線や表情。
焦りは何一つ見えなかった。
コートを一望し、何回かボールを弾ませた後、
浮いたボールを見据え、空を切るように真っ直ぐ跳んだのだ。
綺麗に反ったフォームと、
間違いなく今大会の最高到達点にも劣らない跳躍。
鋭いサーブは一直線にコートの線の外側へ突き抜けた。
___と思えば、線上ギリギリに着いて、バウンドした。
1年生。
バレーを始めて僅か数ヶ月。
ジャンプサーブを打つ人すら稀であるこのコートで、
誰よりも未熟であるだろうそのひとが、
さも慣れたかのように極限を狙ってサーブを叩き込んでいた。
その姿に、素直に憧れた。
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ほし(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます〜!(*´˘`*)♡お気遣い嬉しいです!こちらこそ、今後とも当作品をよろしくお願いいたします!_(._.)_ (4月16日 20時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初めまして!思いきってコメント失礼します!!この神作に出会ってしばらく経ちますが、ほんとにめちゃめちゃ面白いです…!学業もあるということなので、色々忙しいかと思いますが無理せず更新頑張ってください!これからも応援しています!! (4月15日 17時) (レス) @page32 id: cd5bbf6078 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!勿論、及川さんとの絡みはこれからも深堀して盛り込んでいくつもりです……!少し待っていただければ幸いです! (4月14日 21時) (レス) id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - まなみさん» コメントありがとうございます〜!研磨との絡みはプライベートの話や合宿、ゴ決などで出そうと思ってます!研磨の出番かなり多くなると思うので楽しみにしていただければと思います……! (4月14日 21時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - コメント失礼します。十和くんが本気を出すの楽しみです(。•̀ᴗ-)✧できれば及川さんとの絡みが見てみたいです〜!これからも応援してます!!お体に気をつけて更新頑張ってください☺ (4月14日 20時) (レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほし | 作成日時:2024年3月21日 22時