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体育館の片付けには割と率先して取り組んだつもりだ。
だって早く終わらせたいから。
それは別にいつもと変わらない。
その上、今日は合宿の最終日だから、早く帰って早く寝ないと僕が肉体的に死ぬ。
「とっ………十和、」
『………?へ、』
ネットの紐を解いていると、急に誰かが僕の背中を盾にしたものだから本当に驚いた。
縮こまっているその人は、一時的にだが僕よりも身長が小さくこぢんまりとしている。
『どしたの………え、何………?』
その人のプリン頭を見て、まず誰だかはわかったけど、
果たしてこの人__研磨は、何故僕を盾にしているのか。
それがよく分からず、とりあえず周りをキョロキョロと見回す。
だが、少し視線を動かしただけで、何となーくその理由がわかってしまった気がした。
『あぁ…………。』
ある1点から視線を感じる。
影山くんが此方のことを___正しくは研磨のことを鬼の形相で見ていた。
フェイント教えてとかそう思ってこちらを見ている類だと思う。
心底気の毒に思った。アレに捕まったら終わりだ。
『…………何したの?』
「何にもしてない………。」
『え…………意味わかんない………
………でもね、僕もあの子、苦手。』
「十和が前に苦手って言ってた1年って、もしかしてアレ……?」
こくりと頷く。
よくまぁそんな前の会話内容覚えているのものだ。
「何か……わかる気がする。十和が、苦手そうなタイプ……。」
『まぁ色々あったから。
………あ、上やってるから下の紐解いておいて。』
「えぇ………。」
研磨は面倒くさそうな顔をしていたが、そんなの関係ない。
それに皆でやった方が、効率的なのは確かだ。
『………あ、研磨、うちの日向くんと仲良いんだね。』
「翔陽は、別に………。たまたま道で会って。」
『あの時……か。僕、会っても気付かなかった。君が研磨だって。』
「しょうがないよ……お互い顔は知らなかったし。」
そうしているうちに、結ばれていた紐が全部解けた。
ネットを折り畳む作業に入った。
『………新鮮だったなぁ、研磨のプレーは見てて面白かったから。』
「おれは………十和のも、見てみたい。」
一瞬、手の動きが止まった。
何て言葉を紡げばいいか分からなくなった。
『……………いつかね。』
多分、その“いつか”はやってこないだろう。
僕がバレーを好きになれない限り。
だから………
ごめんね、研磨。
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ほし(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます〜!(*´˘`*)♡お気遣い嬉しいです!こちらこそ、今後とも当作品をよろしくお願いいたします!_(._.)_ (4月16日 20時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初めまして!思いきってコメント失礼します!!この神作に出会ってしばらく経ちますが、ほんとにめちゃめちゃ面白いです…!学業もあるということなので、色々忙しいかと思いますが無理せず更新頑張ってください!これからも応援しています!! (4月15日 17時) (レス) @page32 id: cd5bbf6078 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!勿論、及川さんとの絡みはこれからも深堀して盛り込んでいくつもりです……!少し待っていただければ幸いです! (4月14日 21時) (レス) id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
ほし(プロフ) - まなみさん» コメントありがとうございます〜!研磨との絡みはプライベートの話や合宿、ゴ決などで出そうと思ってます!研磨の出番かなり多くなると思うので楽しみにしていただければと思います……! (4月14日 21時) (レス) @page32 id: 28a3212d82 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - コメント失礼します。十和くんが本気を出すの楽しみです(。•̀ᴗ-)✧できれば及川さんとの絡みが見てみたいです〜!これからも応援してます!!お体に気をつけて更新頑張ってください☺ (4月14日 20時) (レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほし | 作成日時:2024年3月21日 22時