凡才なので。2【ハイキュー】

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『………研磨は、S(セッター)なんだよね。』

「うん………。おかしいって思う？」



前に少しだけ聞いたことがあった。

今は強い学校だと。そこでセッターをしていると。

幼少期に、幼馴染に誘われてバレーを始めた…………と。



『ううん。研磨は頭良いから、はまり役だよ。』



少なくとも僕よりは上手いし、頭もいいと思うから。

僕に彼の役割を否定できる権利は無い。だから可笑しいなんて笑わない。



「………そっか。」

『うん、ちゃんと研磨のこと見てるね。』

「十和はウィングスパイカー……だよね。試合には出ないの？」

『………そりゃ、僕スタメンじゃないから。』



少し声が暗かったかもしれない。落ち込んでいるとそう思われただろうか。

僕はあんまり悲しいと思ってないから。そう勘違いされたなら少しだけ申し訳ないと思う。



「そう………でも、烏野、楽しみにしてる。」

『ありがと、僕も音駒との………ごみ捨て場の決戦、楽しみだ。』



僕は眺めることしか出来ないけど。

でも、研磨がいるのは純粋に嬉しいから、“楽しみ”だというのは本当のことだ。



『…………行かなきゃ。またね、研磨。』



どんなプレーをするんだろう。

どんなトスをあげるんだろう、音駒はどんなチームなんだろう、どのくらい強いのだろうか。

こんなにバレーでわくわくするなんて、柄でもない。

でも今更そんなのどうでも良くて。

……………早く見たい。それは、難しい感情なんかではなく、単なる好奇心だった。





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体育館はいつになく熱気に満ちていた。

アップがようやく終わり、僕はコートから出る。

…………試合開始だ。因縁の再戦が、今ここで始まろうとしている。



「………正直言って俺達は、顔合わせたばっかの面子で、デコボコでちぐはぐで、しかも今日がこの面子での初試合。

そんで相手は未知のチーム。

どんな戦いになるか分からない。壁にぶち当たるかもしれない。

……………でも、壁にぶち当たった時は、それを超えるチャンスだ。」



澤村先輩がそうみんなに声を掛けた。



「行くぞ!」

「「「「ぅオス!!!」」」」



向こうのスターティングには勿論研磨がいた。

すごいなと。やっぱり僕とは違うと思った。



「音駒高校対烏野高校、練習試合始めます!!」

「「「「しアス!!」」」」

「「「「しアース!!!」」」」



試合開始の合図、ホイッスルが体育館いっぱいにこだました。

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