廻る廻るひつじ雲【宮城高専】 (ページ7)

今日:6 hit、昨日:18 hit、合計:1,386 hit

＊ページ7

“2人とも殺すぞ”。

そういう男の手には、中学の友達である……2人の、写真があった。

「………2人は関係ない。それと…………親の、いない、って？」

輪廻はたどたどしくそう問う。

今にも消え入りそうなそんな声で。

「あ？んなの分かるだろ。死んだんだよ、お前の親は。」

「3ヶ月前、アナタのご両親は我々に背いたのです。

呪詛師をやめると。なので…………情報漏洩は困るので、殺しました。」

…………静かな怒りを感じた。

燃え滾るような、もしくは煮えるようなそんな怒りじゃない。

腹の底で静かに眠っているかのような、そんな怒りだ。

「…………だから、アナタはその代わりです。

どうせ全てを知ってしまっているのですし………、もういっそ、こちら側に来てしまっては？」

…………だが、

“行くわけない”。

そう言えたらどれだけ楽だっただろうか。

「………違ぇだろ沙原(・・)。そんな甘っちょろいこと言えなんて誰が言った。

従え、拒否権はねぇ。お前は今日から犯罪者だ。」

沙原、と呼ばれたその男を押し、もう1人の男が真っ直ぐに輪廻を見下ろした。

そこに、Noなどという選択肢は無かった。

友達の命が天秤にかけられている状況下で、頷く以外はできなかった。

輪廻は微かに首を縦に振った。

＿＿＿＿それが、湊瀬輪廻が呪詛師になった日だ。