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輪廻とて、両親が裏の良くない世界で働いて金を稼いでいることくらい何となく察していた。

そうでなければ、あれだけ膨大な金を毎月振り込めるはずがない。


だから、警察には行かなかった。



「………これは、違う。」



自らの手で真相を知ろうと動いた。

両親の部屋のパソコンのパスワードを解除、
深夜には外に出て両親がいた痕跡を追ったりもしてみた。



「違う………履歴にアクセスできない。」



学校ももう数日サボっていた。

毎日毎日、あの2人からの通知が鳴るが、それにすら既読をつけていなかった。

パスワードの組み合わせを一つ一つ試してゆくだけの単純な作業。

だが、想像以上に根気が必要だった。










「*******……………、

…………やっと、開いた。」



パソコンのパスワードは案外数時間で解けたのだが、
彼の両親は履歴にまで厳重にパスワードをかけていた。

おかげで、2日寝ずに解読しなければならない始末だ。

輪廻は、画面を見続けたせいで充血し血走った目を、久しぶりに画面から離した。

汗ばむ額に手を力無く乗せ、ふぅ、と大きく息を吐き出す。

十数秒、そのまま動かなかった。






「(…………終わりじゃない、見ないと。行かないと。)」




輪廻は、クマのできた目を擦って、再び画面に向き直った。

並ぶのは恐ろしいほど細かい文字の羅列。

それを見て若干クラつきながらも、必死に文字に食らいついた。


____そして、1番上にあった履歴のURLにアクセスした。

危険なことを承知で。だが臆することは無かった。






「は____、」



だが、出てきた画面に、輪廻は絶句した。





【殺害対象 : ××××

3年前の××銃撃事件の現行犯。
現在は東京都×××に潜伏中。
直ちに殺害し、遺体を本部に持ち帰ること。
詳細は後ほど送信。


期限 : 4月8日

成功報酬 : 5000万


依頼主 : ××××

請負人 : 】





「……………請負人、湊瀬_____」



……………彼の、父親の名前だ。



「殺、し屋。」



“殺し屋”。その仕事がいちばんしっくり来た。

怖くなって、輪廻は震える手をマウスから離した。

その画面にはいわゆる“殺し”の依頼と、対象の顔写真があった。

………殺し屋ご用達の闇サイト。
まさかこんなものがあるとは、なんて感動には浸ってられなかった。








輪廻の後ろに、黒い影が揺らめく。それは確かに人だった。



「……………!?」






___鈍く重い音と共に、輪廻の意識は途切れた。

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作者名:ほし | 作成日時:2024年2月14日 22時

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