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『………まぁ、君にとっては興味無い話かもしれないけどさ、ちょっとだけ聞いてよ。』
輪廻は飲みかけのコーラの缶をちゃぽちゃぽと揺すり、弄ぶ。
“聞いてよ”と言う割には、融佑本人への興味というか、視線は希薄だった。
それを見て、融佑は“あぁ、本当にどうでもいい話なのかもしれない”と少しばかり思い始めていた。
『何かさ………似てるんだよね、君。僕の父さんに。』
「は?」
融佑は思わず低く冷たい声でそう言った。
………呪詛師と一緒にすんなよ、と心の中で悪態をつく。それどころか、そんなものと一緒と思ってたのかと輪廻を睨みつけた。
『…………違うってば、別に呪詛師っぽいとかそういうのじゃないって。怒んないでよ。』
「ジャア何だって言うんスカ。先輩の親ハ紛れもナク呪詛師デショウニ。」
『まぁ………まぁ、そうなんだけどね。そうなんだけど。
違くて……僕が言いたいのは、君意外とお節介だよねって。』
………呪詛師の親と似せられたところからどうしてそうなった。
融佑は、訳が分からず目をぱちくりとさせた。
「ハァ、もっと分かんナクナッタ………。」
『まぁ聞いて。どことなく、初めから似た雰囲気感じてたんだ。………初対面では、何でかよくわかんなかったんだけど。さっき何となく、わかった気がした。
お節介なんだよ、君。本当にめんどくさいならさっきも僕に話しかけないって。』
輪廻がいつもより随分饒舌に話しだすと、融佑はどことなく違和感を抱いた。
初めて会った時は、一瞬静かな人と勘違いするほどには口数が多くない人だったから。
『……だから、似てると思ったんだ。
僕の父さん……口数の少なくて、少し無愛想な人だったけど……なんだかんだ言って面倒見のいい人だった……と思うから。』
「……呪詛師ニそんな可愛ラシイイメージ持てまセンけどネ。」
『だろうね、目が物語ってるよ。』
輪廻が苦笑する。なんだかんだ言って、彼が笑うのを、融佑は初めて見た気がした。
そして、今日何度目か分からない呆れ顔を輪廻に向ける。
「いつもソンナ目で見てたンデスカ?」
『……まぁ、ふとした時に思い出すことはあったかな。
だから、懐かしく思って話しちゃった。
ね、自分で言うのもだけど………おかしな話だ。』
輪廻が目に暖かさを湛えてそう言った。
気味悪いな、と融佑は心の隅で思うも、声には出さなかった。
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作者名:ほし | 作成日時:2024年2月14日 22時