磁石みたいな恋【あほの坂田。】 (ページ3)

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のだページ3

「一緒に帰らへん？」

ＨＲが終わった瞬間、坂田は私の所に飛んできた。

「……なんで私なの」

「理由がないと一緒に帰れへんの？」

なんかド正論ブチかまされた気がする。普通正論に感じる時って理由があるからだと思うんだけど。

「とにかく嫌。だから一緒に帰らない。これでいい？」

「……ちぇ、Aも部活入ってるんかぁ」

さぞかし残念そうに独り言を言う坂田。入ってないけど、向こうが勝手に思っているだけで私は何も言ってない。だから私は何も悪くない。

「……じゃあ、サヨナラ」

「バイバイ」

少し悲しそうな声に、罪悪感が湧いたような……気のせいか。

＿＿＿＿＿＿＿＿

「……チッ」

出来ない舌打ちで更にイラつき具合が増した。今日に限ってやけに信号に引っかかる。「なんか嫌な予感がするから」という漠然とした理由で早く家に帰りたいのに、信号が邪魔をする。しかもちょうど今赤に変わった。私に対する嫌がらせとしか思えない。

なんだか嫌な予感が当たりそうな気が。後ろから足音が、しかも速い足音がこっちに向かってくる。まさか私の後ろで止まりはしないだろうな。

「やっと追いついた」

肩に置かれた手と止まった足音は、嫌な予感が的中した事を知らせるには充分だった。

「校門見てたら帰るトコ見つけるわ、俺ん家と同じ方向行くわで、これは追いかけんとって使命感に駆られてん」

そんな使命感出さないで。あと校門見てたってなんかホラーチック。

「Aはここ曲がる？」

信号の先には右に曲がり角がある。私はまっすぐ行って右に家があるから正直どっちでも家には行ける。坂田が曲がるかどうかで決めよう。

「坂田は？」

「俺は曲がんで」

心なしか嬉しそうに見える。曲がるのがそんなに楽しいのかな。

「私はまっすぐ」

信号が変わって、無造作に歩き出す。

「じゃあここでお別れかぁ。バイバイ！」

本日二度目に別れ。前回と少し違う気がして、それが何なのか上手くまとまらなくて。

「早く帰って」

でも流石にコレは冷たすぎるよな。