ジュンの初恋�� ページ32
JN side
失礼します、と後ろから引き止める声も無視して、何もかも振り切って走る。
泣きたいのは、ヒョンのはずなのに。
何故かすごく泣きたくなった。
少し離れた公園。二人でベンチに座る。
携帯が何度も何度も僕らを呼ぶけど、二人とも何を言うわけでもなくその電話を取ることはなかった。
YR「 …スンチョルに怒られちゃうね 」
「 帰りに何か買って帰って一緒にごめんなさいしよ？」
YR「 ふふ。そうしよっか 」
横目で見たヒョンは、髪を耳に掛けていて、華奢な指先とその仕草に、意識してるのは僕だけだと知っていたとしても胸は高鳴った。
春風が僕らの間に流れ込む。
一緒にいる時間が増えれば増えるほど、ヒョンのことが分からなくなる瞬間が、僕をどれだけ切なくさせたとしても傍にいることが、幸せだった。
YR「 どこから聞いてたの？」
「 …殴られたりはしてない？」
YR「 …してないよ。」
恋は、嘘みたいに幸せな夢だと聞いたことがある。
「 …いつからあんなこと 」
YR「 やっぱ聞いてたんだ 」
「 ヒョン、」
YR「 …デビューの話が出た頃だよ。」
「 そんなに前から？」
刹那の悲しみさえ乗り越えれば、二人に待っているのは幸せと笑顔だと。
相手の幸せに想いを馳せる。
それこそが色褪せない愛情。永遠の愛だ。
YR「 皆んな切実にデビューに向けて準備してる 」
「 それは、」
YR「 そう。僕も勿論同じだよ。だから、僕は接待し続けた。幼い弟や負担の多いスンチョル達にはこんなことさせたくなかったから。」
僕はそっと、ヒョンの頬に指を添えた。
ヒョンはおかしそうに笑って「泣いてないよ」と言うけど。
「 泣きそうな顔してるから 」
もしも、泣きたい夜があったら僕が、君の枕になる。
もしも、雨が降って君の身体を冷やしたら、僕はふわふわの毛布になってその身体を包み込もう。
「 ヒョン、まずは出来ませんってしっかりお断りしなきゃね。マネヒョンにもきちんと報告するよ 」
YR「 ……知らない内に、ジュナが大人になってる…」
愛おしい君が、もう一人で泣く夜が来ませんように。
愛おしい君が、もう一人で凍えることがありませんように。
そう願うことが愛だと知った僕は、静かに流れた涙を、そっと拭った。
いつか本当に大人になったら、言ってやるんだ。
僕の初恋の人は、ヒョンだよって。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 827人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
密(プロフ) - 月さん» 続編でウォヌさん活躍させますね……ご愛読有難うございました！ (2019年7月14日 2時) (
レス) id: 8c5a211b31 (このIDを非表示/違反報告)
密(プロフ) - ぼくさん» 当人同士の恋愛はグレーを書きつつも考えていなかったので、いつか書いてみたいと思います(笑) (2019年7月14日 2時) (レス) id: 8c5a211b31 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 素敵なお話でした。どの作品も気になりますが、チョンウォヌをたくさん取り上げてくださるなら、何でも大丈夫ですw (2019年6月29日 2時) (レス) id: 0847684d6a (このIDを非表示/違反報告)
涼 - すごく面白かったです！このお話大好きなので、続編希望です！ (2019年6月28日 23時) (レス) id: fcb8d0fbd3 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 更新、お疲れ様でした。｢Caratが地図になって導く。」とても感動しました。作品に関しては、続編を希望します。 (2019年6月28日 21時) (レス) id: 6d991553f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：密 | 作成日時：2019年5月13日 23時
