ヒソカレ (ページ25)

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か
―――駅です、右の扉が開きます――――――

車両アナウンスでふと目を覚ます。

私の頭はミンギュの肩に乗っていた。

主「ん、どこまできた？」

ミ「起きた。海橋だよ」

主「そう……え！？」

とたんに目が覚めた私はひとりで焦り出す。

主「海橋って終点？」

ミ「うん」

主「ごめん！本当ごめん私が寝てたせいだよね！」

ミ「違うよ俺も寝てたの、同じ寝不足だったの」

ミンギュはいつもみたいに八重歯を見せて笑った。

主「え、ああ…ごめん」

ミ「とりあえず降りよう」

私とミンギュは電車を降りる。次の電車まで時間があるみたいで、ミンギュが改札を出て少し散歩でもしようかと提案してきた。

主「本当にごめん～」

ミ「だから言ってるじゃん俺も寝てたんだって。そんなことよりさ、ここ覚えてる？」

首を傾げるミンギュに私も同様に首を傾げる。

ミ「海橋だよ、昔俺ら一緒にきたてたじゃん」

主「…そうだね、きてた」

ミ「ここで一緒にサボったんだよ、学校」

私とミンギュは中学の時、何度か学校の最寄を通り過ぎここで暇を持て余してたことがある。

主「少し歩いたところに、海があったよね」

ミ「そうそう。堤防のところで一緒に座って何時間もぼーっとしてた」

久しぶりに行こうか

私の手をとると、ミンギュはその海に向かって歩き出す。

しばらく歩くと見えた海は、あの頃となんら変わらず、きれいな波音を立てていた。

ふたり揃の行き先は何の言葉も交わさず当たり前ようにあの頃座ってた堤防。

ミ「うわーきもちー！」

主「本当きもちー」

大きく伸びをして、長く伸びるアスファルトの端にふたりで腰を下ろした。

時間はすでにお昼だ。

ミ「今日はゆっくりしようか、テーマパークは今度」

主「なんで寝ちゃったんだろ…」

ミ「へへ、俺も寝てたしお互い様だって言ってるだろ」

主「ほんとに寝てたの？」

ミ「さっき、俺がなに言ったか忘れた？」

さっき？

ミ「昨日遅くまで起きてたなって。電気ついてたの知ってたろ」

主「…そっか、ミンギュも起きてたから知ってたんだ」

ミ「俺は服に悩んでた」

恥ずかしそうにミンギュは言った。

ミ「何年経っても、Aと出かける日の前日は緊張するし悩むよ。それが楽しかったりもするんだけど」

主「ミンギュ…」

勝手に体が動いていた。自然と、ミンギュのほうに手を伸ばした。

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