姉1人に対して弟11人は案外楽しい生活です (ページ21)

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元々裕福な家庭に生まれて、比較的愛されて育ったとは思ってた。

けどそれはほんとに最初だけで、幼稚園になる頃。俺は幼稚園に行って帰ってきたら直ぐに親の命令に従わなあかんかった。

最初は勉強。優秀になるためにはいっぱい勉強しなきゃいけない言われて幼稚園の後みんなが遊んでるのを横目に自分は勉強だった。
でも勉強だけじゃ優秀にはなれない。だから次は運動だった。

やらされたのはサッカーとか野球とか色々あったけどどれも身に合わず、すぐに辞めてた。

だけど唯一弓道だけは上手くできて、年長になる頃には小学校高学年と同じくらいにできてた。

まあ、親はそんなもの望んでなかったんやな。

もっと有名な…まあ、弓道やって有名やけどお金が稼げて、家も有名になれるようなものを望んでた親は小学校に入ってすぐ俺を見放した。

『お母さん？どこ行くの？』

『仕事よ。お父さんの言うこと聞くのよ』

『うん！』

親に言われたことだからと守った。守ったはずだった

バチィン

『この出来損ないが！！何故こんなことも出来ないんだ！』

ひとり家に残ってた父親には家事を任された。でもいつもならお母さんがやってたことで、見様見真似な自分の家事は納得いかなかったらしい。

『こんなことも出来ないゴミだったとは…今まで育ててやった恩を返す気は無いのか！？』

『ご、ごめんな』

『うるさい！！お前なんか俺の子では無い！！』

そう言って父親は立ち去った。

１週間位経った頃だろうか。親が2人揃って大きなスーツケースを持って出ていった

『お母さん？お父さん？どこ行くの？』

『もうお前なんか息子じゃない。これからは他人だ』

『お父さんの言うことは絶対よ？これから私たちのことをお母さん、お父さんなんて呼ぶことも許されないし、会っても他人のように無視するのよ？』

正直小学校に入ったばっかの自分には理解できなかった。

でも次に会うことのできた人を見て理解をした。あぁ。自分は捨てられたんだ…って。

『やぁ。君がロボロくんかね？私が今日からお父さんだ。心配することは無いよ？他にも兄弟がいるからね。』

家に残ってたご飯をちまちま食べて生き残ってた俺にとっては希望の光やったのが…

A姉のお父さんやった。

習い事の強要はしないし、まあ、自分が何もしたがって無かっただけなんやけどな。

だから嬉しかってん。唯一楽しかった弓道またできるって知って。