じんわり、ふわり。

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あぁ、どうしよう。

顔がにやけそう。


だって、だって、ずっと好きだった

北山くんの彼女になれたんだよね？

夢じゃないよね？






土曜日、休日出勤。

コーヒー淹れようと給湯室に向かったら

そこには二課の藤ヶ谷くんがいた。




「……おはよ。
そんなに砂糖とミルク入れるの？」


「あ、おはようございます。
先輩も飲みますか？」


「いや、私ブラック派。」


「ですよねー。俺もブラック派です。」



え？

じゃぁ、誰の？

藤ヶ谷くんのじゃないの？



「土曜日なのに出勤？」


「そうなんです。
休日返上で仕事です。
北川さんも休日出勤ですか？」


「うん。
お互い大変ね。」


「ふふっ、
まぁ、俺は桜井と一緒なんでまだ気が楽ですけど。」


「……」



桜井？

桜井ってあの桜井さん？



「では、また。」




マグカップ二つ持って

先に給湯室を出る藤ヶ谷くんは

休日出勤にも関わらず、

なんだか爽やかで。


相変わらずの人当たりの良さ。



砂糖とミルクたっぷりのコーヒーは桜井さんの？

桜井さんって、あの桜井さんだよね？

美人で有名な。



チラッとパーテーションの隙間から

藤ヶ谷くんと桜井さんを覗き見。



「……」




藤ヶ谷くんって、あんな優しい顔するんだ。

それに桜井さんもなんだかイメージと違う。



「………」




笑ったりするんだ。


笑わないで有名で

美人過ぎて近寄れないとか。



もしかして二人付き合ってたりして。



「どうしよう。
顔が緩んじゃう。」



私も今、ハッピーだからかな？

休日出勤だけど

全然苦じゃない。



“俺たち、付き合うってことでいいんだよな？”



何度も頭の中でリピート。



北山くんの声。

私、大好きなの。

声フェチなのかな？





鼻にかかる、掠れた声。

仕事中は元気いっぱいの張った声だけど

普段話す声は低音。



そのギャップにやられてる。

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