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恋話 ページ32

日々は飛ぶ様に過ぎてゆく。

日が昇っては堕ちて、また昇る。


それを何回も繰り返し、時は金曜日。
この日を終えれば、夏休み。

この暑い中、汗水垂らして遠い学校へ行くことからやっと解放されるのだ。


つまり、時間がたっぷり。

さて、帰ったらエフィルに家事を覚えさせて、思う存分こき使うぞ!
まずは、料理だな。
味噌汁位は作って貰おう。

働かざる物は食うべからず。

我が家の掟である。





「ねえA、さっきから考え込んでるけど、何考えてんの?」

微笑してたりして何か怖い。
そう言われて、現実の世界へ戻ってくる。

「なんだ、真理か。」

目の前には、大きく真理の顔があった。
…近い。

透き通った綺麗な焦げ茶の瞳が、明かりに照らされているのがよく見える。

「ねえ、何考えてたの?」

その瞳には、純粋な好奇心と何か腹黒い物が隠されているように感じられた。

「いや、今日の夕飯についてよ。食材無くなったし。」
「えー…」

素っ気なく返したその返事に、真理は納得いかなさそうだった。

「何が嫌なのよ。」

「うーん、好きな人が出来て悩んでたのかなーって思ったのにな。」
「何よそれ。」

私の観察力も鈍ったのかしら、と真理は自分の頭をコツコツと叩いた。
そんな真理を見ていると、心の底からちょっとした腹黒い心がわきあがってくるのを感じた。
 
所謂、悪戯心っていうやつだ。

「真理はさ、好きな人でもいるわけ?」
そっと呟く様に言った言葉は、ちゃんと真理の耳にも届いた様で。

一瞬、真理が常に浮かべているあの余裕そうな笑みが、真理の顔から消えたような気がした。
普段私はこんなことは言わないから、きっと動揺したんだと思う。

が、次の瞬間にはしっかりと元の表情に戻っていた。

「うーん、いるかもしれないけど、いないかもよ?」

普通なら、こんな反応をする=好きな人がいるという式が成り立つ。

だがしかし、真理≠普通である。
よって、真理に好きな人がいるかは分からない。

…まあ要するに、真理の好きな人はいるかは不明である。
仮にいたとしても、彼女は絶対誰にも言わないだろう。


「まあ、好きな人はお互い気になるもの。好きな人できたら、私に教えてよ!」

うふふ、と笑って真理は何処かへと走っていった。
大方トイレだろう。

「恋、ね…」


孤児の私が結婚できる相手なんて限られているが、それでも、そういうのも視野に入れるのは案外悪くないかもしれない。


何もない校庭を、見下ろしていた。

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四夜(本物) - 完全に黒歴史で恥ずかしい、うらつく頼むからログインさせて (2019年7月23日 21時) (レス) id: dfaad9320b (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - 四夜さん» 冷静な分析出来る子なのに、大事な場面で音出しちゃうって可愛い存在だよねクモノコ♪ (2014年7月16日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 続編続きました。これからもよろしくお願いします。 (2014年7月9日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 妙子さん» 普通、トリップを実際にしたらもっと混乱しそうですけどね…クモノコは私のお気に入りですw (2014年6月19日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お互いに疑問があり過ぎて不安が勝つ(・_・;)クモノコが導いてくれるといいけどね (2014年6月19日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四夜 | 作成日時:2013年12月4日 16時

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