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ぼやーんと ページ27

「ただいまー。」


家に帰って鍵を開け、開口一番に挨拶をする。

すると、家の奥から
「おかえり〜」
と挨拶が帰ってくる。

…はずなのだが。

「ただいまー!」
叫んでも返事はない。



「あいつめ、家の外に出やがったな。」

挨拶は帰ってこず、自分の広い家にぐわんぐわんと響くだけだった。


「ああもう、まともな事はしないって分かってたけれど、まさか家の外に出るとは思わなかったわ。」
留守番もまともに出来んのかあいつは。


家の外なら探すのに骨が折れる。

どこから探して行ったらいいのやら。


「この近くには山ばかりだし、山には危険な生き物が一杯だし…あれ?」

山に住む猪や熊とか蜂とかについて考えていたら、何かを感じた。



ふと、玄関をぐるりと見渡す。

何か違和感がある。
何かが足りない様な…。

散らかっていること以外におかしい事は何も…


あれ、確かこの棚の上には…


あ。


「地図が、ないじゃん。」


庭の地図が、無くなっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ぼやーんと。


微睡む意識の中で、エフィルは蠢いていた。
訳の分からぬ空間にいた。


何も考えることが出来ずに、意識の中を空っぽの頭で漂っていた。

例えるなら、脳の中をいろいろ弄られて、手足を動かす神経を断ち切られた様な感じ。
体が自由に動かず、動かそうとも思わない。


次第に、地に沈んでいる筈の体が、ふわふわと浮かぶ様な感触に襲われる。
浮かんで、上へと上っていく。


まるで、魂が体から離れて天へと昇って行く様な…

それに逆らうことは出来ず、寧ろなんか気持ちがいいので、そのまま放っておく。

自分は、ここで死ぬのか?
この、訳の分からない世界で、死んでしまうのか?
誰にも気づかれぬまま?

それも、悪くはない。

そう考える時点で、もう俺は死んでいるのかもしれない。

どうでもいいこと。

Aは、今どうしているだろうか。
何も知らず、ひたすら受験勉強にでも勤しんでいるのだろうか。

俺に何が起こっているのか知らないまま。

留守番しなかったことを、彼女は怒るだろうか。
勝手に死ぬことを、怒るだろうか。


今、それを知るすべは無い。



眩しい空を目指して、意識が高く昇り始めたその瞬間。



冷たいモノが顔にかかる感触。

魂は、体へと再び押し戻された。

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四夜(本物) - 完全に黒歴史で恥ずかしい、うらつく頼むからログインさせて (2019年7月23日 21時) (レス) id: dfaad9320b (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - 四夜さん» 冷静な分析出来る子なのに、大事な場面で音出しちゃうって可愛い存在だよねクモノコ♪ (2014年7月16日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 続編続きました。これからもよろしくお願いします。 (2014年7月9日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 妙子さん» 普通、トリップを実際にしたらもっと混乱しそうですけどね…クモノコは私のお気に入りですw (2014年6月19日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お互いに疑問があり過ぎて不安が勝つ(・_・;)クモノコが導いてくれるといいけどね (2014年6月19日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四夜 | 作成日時:2013年12月4日 16時

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