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こんな時間も ページ19

「…ん。」


赤い夕陽で目が覚める。

薬を飲んだせいか、寝る前よりも身体が大分楽になっていた。

体を起こし、直ぐ隣の窓の外を見つめた。

「もう夕方か…」

たくさん寝ていたらしい。
今日の夜は眠れるだろうか。


ベッドから降りると、重力がかかってフラフラとしてしまう。
震える足を抑えるようにして立つ姿は、何処か生まれたばかりの子牛のような姿だった。

一歩、また一歩という風にドアに近づき、手を伸ばしてドアノブを握る。



その瞬間、ドアが思いっきり此方に開いて、ドアの真ん前にいたエフィルは顔面をドアにぶつけた。



「痛っ!」

「…あれ、エフィル?」

ドアを開けた本人は、エフィルが目の前にうずくまっていることに気がつき、慌ててエフィルの安否確認をした。




「ごめんね。気がつかなかったもんだからつい…」

「だからって勢い良く開けなくても…」

「いや本当ごめん!」

二人共ベッドに腰掛けてココアを飲んでいる。

やたら甘いので、風邪の人には向いていないかもしれないが、温かい飲み物はこれしかない。


「というかさ、何でエフィルはこの部屋から出ようとしてたの?」

「いやあ、喉が渇いてね、お水無いかなぁって。」
ハハッと申し訳なさそうに笑うエフィル。


薬飲んで少し寝ただけで、こんなに元気になるのか?

異次元の技術で病気は治りやすい体になっているとか…
いや、単純に風邪が軽かったのか?

…それとも、私のココアのお陰だったりして。



「何考え事してるんだ?ニヤニヤして気持ち悪いぞ?」

「煩い煩い。ちょっとした思い出し笑いよ。」

それはそれで気持ち悪いとは思うけど。



私は、家族がいなくなってからずっと一人だった。

親戚のおばさんや叔父さんは居たけれど、皆年上。

同年代の友達なんて、いなかった。

学校でも、両親がいなくなって一人暮らしの私に絡む人なんていなかった。

周りに味方はいても、心は孤独。





だから、こういう時間もちょっといいかな。



そう思った。

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四夜(本物) - 完全に黒歴史で恥ずかしい、うらつく頼むからログインさせて (2019年7月23日 21時) (レス) id: dfaad9320b (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - 四夜さん» 冷静な分析出来る子なのに、大事な場面で音出しちゃうって可愛い存在だよねクモノコ♪ (2014年7月16日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 続編続きました。これからもよろしくお願いします。 (2014年7月9日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 妙子さん» 普通、トリップを実際にしたらもっと混乱しそうですけどね…クモノコは私のお気に入りですw (2014年6月19日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お互いに疑問があり過ぎて不安が勝つ(・_・;)クモノコが導いてくれるといいけどね (2014年6月19日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四夜 | 作成日時:2013年12月4日 16時

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