常識を超えた推論 ページ11
「…なあ、この体のしびれを取る薬、ないのか。
「無い。」
血も涙もない。
今、正にAがそうである。
「異次元とやらでは、科学が発達しているの?」
「ああ。この世界とは桁違いにな。」
あれ?
というか、さっきから…
「お前、俺のこと信用してるの?」
「ええ、いつまでも疑っているわけにもいかないでしょう。それに、嘘か本当かなんて、簡単に見分けられるもの。」
「ほう。じゃあなんでさっきは疑ったんだ?見分ければ済む話なのに。」
「それは、あんたが頭いかれてたかもしれなかったから。頭いかれてたら、嘘を本当のように信じ込んでしまうでしょう。そうすると、見分けつかないもの。」
「なるほどな。」
こいつ、割と頭いいんだな。
「そういえば私、あなたの名前聞いてないわよ。」
ああ、そういえばそうだったな。
「俺はエフィルだ。」
「エフィル、ね。改めていうわ。私はA。で、どうして私の名前をあなたが知っていたの?」
笑ながらも、威圧をかけながら言うA。
なかなか恐ろしい。
「ああ、色々あってだな。俺の話、聞いてくれるか?」
Aは少し不審そうな顔をしたが、直ぐに頷いてくれた。
少しうつむいて、話し始める。
「…実はな、お前の世界が、俺の世界ではゲームになっているんだ。」
顔を上げてみると、Aはポカーンとした顔をしていた。
…まあ、こんな顔が妥当だろう。
信じろという方がむつかしい。
「お前は信じられないかもしれないが。だが、俺は狂ってもいないし、嘘も言っていない。
…本当のことだ。」
Aは納得しないような表情ながらも、頷いた。
「お前の世界がゲームになっていたから、俺はお前の事が直ぐにわかった。この家の家具の配置や作りなどもよくわかる。」
「けれど、この世界がゲームの世界だと、どうして分かったの?貴方が知らない異国だったかもしれないのに。」
今まで黙っていたAが口を開いた。
「ああ、断定は出来ない。だが、確率は格段に上がった。この街の名前でな。俺がやっていたゲームの中のお前は、『狐鳥村』に住んでいたからな。お陰で、この推論を思いついた。」
やはり信じられないという感じで、Aは首を振った。
「そう。でも、やっぱり私には分からないわ。常識に外れすぎてるもの。私にはこれを理解するのは難しすぎる。」
Aは、自分の頭を人差し指でつついてそういった。
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四夜(本物) - 完全に黒歴史で恥ずかしい、うらつく頼むからログインさせて (2019年7月23日 21時) (レス) id: dfaad9320b (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - 四夜さん» 冷静な分析出来る子なのに、大事な場面で音出しちゃうって可愛い存在だよねクモノコ♪ (2014年7月16日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 続編続きました。これからもよろしくお願いします。 (2014年7月9日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 妙子さん» 普通、トリップを実際にしたらもっと混乱しそうですけどね…クモノコは私のお気に入りですw (2014年6月19日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お互いに疑問があり過ぎて不安が勝つ(・_・;)クモノコが導いてくれるといいけどね (2014年6月19日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四夜 | 作成日時:2013年12月4日 16時