カフェオレ、ミルク多めで。

◻︎008 ページ9

・





今日は、あの事件のあと、初めて2人の休みが被ったから、久しぶりのお出かけ。ショッピングモールで冬に向けてお買い物をして、コーヒーショップで飲み物を買って、陣平くんの車に戻ってきた。




ここまででも、陣平くんはとにかく私に甘くて、爆破事件から数日はそのことを悪いと思って、甘いことを言って喜ばせようとしているのか？なんてことも思っていた。


けれど、いつまで経っても終わらない甘々モードにこちらもどうしたらいいのかわからなくなってきた。




そんなことを悶々と考えていると、「A」と陣平くんに声をかけられる。


手を出すように言われ、言われた通り出せば、私の手のひらの上には小さな箱。



「なに？…え！これって、！」




箱の中を見てみれば、私がショッピングモールの中で見ていたブレスレットが。

とっても可愛かったけど、少しお高めだったから手が出せなかったもの。




「Aが着けたらぜってー可愛いのに買わなきゃ勿体ねぇと思ってよ」




なんて、陣平くんらしくない言葉に少し胸がドキッとしつつ、事件のお詫びだとしても、私もあの時は怒っていたけれど、流石にもう怒りもないし、こんなに良くしてもらうと申し訳なさが募る。





「嬉しいけど、、流石に申し訳ないよ」



「Aがつけたとこ見たかっただけ。それなら俺の勝手だろ？ほら、手出せ」



陣平くん特有の有無を言わさない表情に、私も諦めて手を出せば、箱からブレスレットを取り出して、器用に私の腕に着けた陣平くん。




「わぁ、可愛い…ふふっ、嬉しい！ありがとう！！」




お詫びだとしても素敵なプレゼントに、嬉しさが募る。

しかも、このブレスレットは声も出さずに少し見ただけだったのだ。それを、可愛いと思ったことに気づいてくれたことが何よりも嬉しいと思った。




「本当に嬉しい！大切にするね！」




そう伝えると、満足気に笑って頭を撫でてくれる陣平くん。

その手の優しさに、自分の幸せを改めて感じた。

◻︎009→←◻︎007

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す