甲斐甲斐しい ページ22
グラスの泡を丁寧に洗いながす悠一を見ながら、取り込んだタオルに手を伸ばす。
ふわりと包むブラウンのバスタオルはお引越ししてから3代目となり、そろそろ雑巾へ降格かなぁ。とまじまじと見つめた。
時間もあるし、使いやすい大きさに切ってミシンで叩いておこう。
他のとは分けて、スマホにバスタオルとメモをする。もう１枚は十分に使えそうで、頷きながら端と端を合わせ畳む。
「…うーん。」
タオルと言うものは、使い込むほど端が揃わなくなるらしい。少し不満げな唸り声に、食器洗いを終えた悠一が洗濯物の山を挟み隣に座った。
「何唸ってんの」
「端っこ揃わないからさぁ」
「あるあるだね」
ははは、と声を出して笑った悠一は私のTシャツを手に取り、大きな手が器用に畳んでいく。他愛ない話をしていれば、いつの間にか山は消えた。
「…どうぞどうぞ？」
「どうもどう…いや、最後の靴下持ってるのAじゃん」
「ばれたか」
ぽつん、と残っている最後の靴下をウェイトレスの様に示してみれば、長い人差し指が、片方を引っ掴んでいた私の左手を指差す。くるりと畳み手渡すと、その長い指が触れる。温かくて大きな手。
「はい、しまってくるから貸して」
「えっ、大丈夫、これくらい行けるよ」
「普段からお仕事してるんだから今日くらい座ってて」
「それ最近とっても聞いてるなぁ…」
ほら、と自分用に積み上げた服たちは、いともたやすく悠一の腕の中だ。
立ち上がろうと上げかけた腰はまたおりた。
ほとんどと言っていい程、ソファから動いていない。
ご飯の用意にキッチンに立ったくらいで、食べ終わった皿はすぐ片付けられるし、いつの間にか洗濯物も干されて取り込まれているし、謎の競争心を燃やした私より早く掃除機は手に取られた。
未来視をフル活用されている…と目を丸くして掃除機をかける後ろ姿を見る私に、悠一は声を出して笑っている。
今日だけじゃない。体調が優れない前も後も、安定期に入って落ち着いてからもずっと、変わらず動いてくれている。彼もまた任務で疲れているだろうに。
「少しくらい運動しなきゃ、悠一座ってて。」
「じゃあお茶にしようよ、俺お菓子出すからAお茶入れて」
「そんな簡単な事だけでいいの…」
るー、と涙を流しそうな程感動していれば、再び明るい笑い声が飛んだ。
これだから実力派天才優しさの塊で顔もスタイルもパーフェクトなイケメンはずるい。嫁フィルターがかかっていなくても天才。
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み(プロフ) - おもちさん» 長いお話にも関わらず楽しんで頂けてとっても嬉しいです💕暖かなコメントありがとうございます😍 (2022年7月21日 8時) (
レス) id: aaa9f51a75 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 1杯目から読ませていただいたんですが、めちゃくちゃ好きです、この作品。迅さんパパ最高…！！なんか語彙力低下中ですが本当に好きです！迅さん夫婦、幸せに！ (2022年7月20日 18時) (レス) @page7 id: aefd0777d6 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 甲賀忍者さん» ｺﾒﾝﾄありがとうございます！思いついてどうしても言ってほしくて…！！共感頂けたみたいで嬉しいです😍 (2022年6月9日 13時) (レス) id: aaa9f51a75 (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - パパのサイドエフェクトがそう言ってるって素敵な台詞！最高です！ (2022年6月7日 21時) (レス) @page34 id: 75f75dc2eb (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - わかさん» きゃー！！嬉しいですありがとうございますｯｯ！！ぱぱなじんくん大変にツボなのでそう言って頂けてはっぴーです(*^^*)がんばります！ (2021年8月4日 22時) (レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2021年3月26日 13時
