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前回と同じカウンターへ座り直し私のコーヒーを淹れる手つきを観察する迅さん。

逸らされる事のない端正な瞳に、緊張の糸が一気に張り詰める。

提供を終えて未だ尚感じる視線にちらりと見上げれば、カップにゆったりと口をつけた迅さんと視線が絡む。


「何か、ございましたか…?」


緩みそうになる頬を押さえ、緊張のせいで何かしら不備が無かっただろうかと遅い後悔を始める私に、首を横に振る彼はううん。と告げる。


「大丈夫だよ。…見てるだけ」


艶のある声に鼓動が跳ねつつ、店員さんって何でもするんだねぇ。と続ける彼に頷く。


「最初は分からない事も多くて不安でしたけれど…ようやく楽しめる様になってきました」


片付けの手は止めないまま微笑む私に、口元に弧を描く彼は何度か頷く。


「そっかぁ。…っあ、そろそろおいとまするね」


ふと突然何かが見えたかの様に視線をカップへ戻した迅さんは、ご馳走様でした。と丁寧に手を合わせ席を立つ。


お会計へ移り、財布を仕舞い終えた迅さんがそういえば。と視線を上げる。


「Aちゃん、サービス、くれないの?」


こてん。と首を傾げる彼の遊ぶような大人の笑みは、とても心臓に悪い。


「っ、これは、サービスになるのでしょうか…」


熱を持つ頬を隠すようにポケットへと視線を移し、電話番号とチャットアプリのIDを書いたメモを取り出す。


「十分すぎるよ。連絡するね、ありがと」


このアプリ便利だよねぇ、とメモを覗きながら受け取る彼。


「こちらこそ、ありがとうございます。……楽しみに、待ってますね」


レシートを手渡し、自然と緩む頬のまま笑う私に、


「っ、ん。待ってて、またね」



少し頬を染めた迅さんは一瞬刮目した目をすぐに細め、お店を後にした。


今日は太刀川さんと出水さんの色々な一面を知れて、玉狛の皆さんとお話までできた。

幸せ過ぎて怖いくらいだ。


それより何より、まだサービスと認める勇気のない連絡先が気になってしょうがない。


本当によかったのだろうか、冗談を真に受けてないだろうか、優しい彼だからもしかして、とじらすような、遠回りしている様な感情は渦を巻いてばかり。それでもあの笑顔を訳もなく信じてしまって、もっと知りたいと思ってしまって、ひとりでに鼓動が騒ぐ。


カチャリとカップとソーサーが柔く音を奏で、戸棚の中でしばしの休憩を得た様だ。

ご本人様ですよね。→←・



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設定タグ:ワールドトリガー , 夢小説 , 迅悠一   
作品ジャンル:アニメ
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ぐりーん@Umi(プロフ) - 黒崎ソラさん» ありがとうございます!頑張らせて頂きます〜! (2016年9月14日 7時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
黒崎ソラ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2016年9月12日 4時) (レス) id: b15a705d85 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーん@Umi(プロフ) - 蜜柑雨さん» わぁぁお褒めの言葉ありがとうございます!!更新頑張らせて頂きます♪ (2016年9月11日 11時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑雨(プロフ) - とっても面白買ったです!!ほのぼの感が最高です!更新楽しみにしてます! (2016年9月11日 1時) (レス) id: 94c773db22 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーん@Umi(プロフ) - setunaさん» わわ、勿体無いお言葉を!!嬉しい限りですありがとうございます(*´ω`*) 18歳組可愛いですよね!頑張らせて頂きます♪ (2016年9月10日 22時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年8月17日 15時

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