じんじん。（ybxym）

＝好きだった・３＝ ページ3

「薮宏太です。よろしく。」



＿＿＿やぶ‥こう・た・・＿？


よくある名前。よくある名前？

そういない名前＿＿＿＿＿＿。




おれはバッと顔を上げた。


＿＿＿一瞬、時が止まった。


壇上でマイクの前に立って居る人＿＿＿。




スラリとした立ち姿、ビシッとスーツを着た男性。


＿＿＿＿兄ちゃんだ・・・。




ぼんやりと見つめるおれと、目が合った。

何十年振りかで目が・・

もう二度と合うはずがないと＿＿そう思っていたのに




自己紹介を終えた兄ちゃんは、フッと笑い

マイクの前から離れた。


その間際、兄ちゃんが言った＿＿＿

おれに何か言った。口をパクパク動かしてた。




何？・・何て言ったの？

読唇術・・わかんないよ。

目が合った兄ちゃんはおれに何か言った。



６文字だった気がした。

６文字。６文字。

なんだろう。何て言ったのだろう。




会わない日々から何年？

目も合わせず、喋らなくなってから何年経ったの？




・・ねぇ、またくる？

またおれの胸がじんじん。と痛む日が

またくるの？

またボタボタと涙を零す日々がくる？




忘れた＿＿忘れたはずのあの日々が


ねぇ・・くる・・？



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




新学期一日目を終え、

教室で、あわわ。わたわた。帰り支度。



会ったらだめだっ。会ったら終わりだ。

会わないようにしなくちゃ

会わないように暮らしたい。

どうしたらいいのだろう・・。




あわあわ。してるおれの後ろの席の・・

小学校から友達の大ちゃんが

「おいおい、どーした涼介？
　ちょー慌ててんじゃん？？」


「そ。。そう〜？」


「ああ〜。なぁな〜〜帰りモック寄ってこーぜー。
　高２の俺達、初モック♪」


「あー・・ん、いいけど〜。
　んっじゃ、早く帰ろっ。早くして
　一刻も早く学校出ないとっ＿＿＿」


「・・なんで？？」

＿＿ってのんびり机でだらだらしてる大ちゃんを

急かそうとしたら・・

ジャージ姿の担任の高木先生(体育)が〜〜〜

「お〜〜い、やまだぁ〜〜〜。」って呼ぶぅ―――っ。。



おれはバタバタ走って、教壇に居た高木先生に

「なんでしょ〜先生っっ。
　何々、せんせぃぃー早く用事言ってぇ〜〜。」


「どーした、どーした。
　今日の山田は、せっかち〜〜♪」


「せっかちー。っはいいから〜〜
　なぁに〜〜せんせぃっっ。」

先生はふふふ。って笑って

「お〜。実はさ〜明日皆に配る資料があんだけどー
　今日の内に教室に置いときたいんだよ。」

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