じんじん。（ybxym）

＝好きだった・１７＝ ページ17

「は、早くかえろー。」

あせあせと急いで教室を出ようと思ったら

背中をポンッと大ちゃんにたたかれるー。

「なに？大ちゃん。」


「俺、知念先生んコト寄ってから帰んからさっ!」


「あ。うん、わかった。
　じゃあ大ちゃんまた明日ねー。」



「おぅ。バイバ〜〜イ！」って元気な笑顔で大ちゃんは

バッビューーンって教室を出て行った・・。

「早いなぁ・・」って感心しながら背中を見送って

「＿＿っと。。おれも早くはやく〜〜。」





＿＿＿急いで教室を出たのに、２年の違うクラスの人に

教室出てすぐ・・呼び止められた。

「山田君・・ちょっといい？」そう言われて＿＿＿




人気が居ない放課後の中庭で、告白された。

『好きだ。』って＿＿言われた。



「＿＿ごめんなさぃ。」

おれはそう断って、ペコリとお辞儀して

その場から立ち去った。




・・これで４回目。新学期始まってから

告白してもらうの・・４回目だ。



断る時困る。申し訳ない気持ちになる。



好きな気持ち。


好きな気持ちなんて、おれにはない。

そう思いたい。そう思いたい？

好き。好きだったの気持ち。

“だった”＿＿＿だったの気持ち。

過去の気持ち。今じゃない気持ち。




「はぁ・・。」

校門を出て早足で歩きながら考える＿＿＿。



大ちゃんも告白してくれた人達も・・

みんな“好き”を誤魔化してない。



＿＿＿誤魔化してる？

自分は兄ちゃんの事、まだ好きなくせに

誤魔化してる？



好きだった。好きだったって言って

誤魔化しているのか＿＿＿＿。



また兄ちゃんに逢って、久し振りに逢って

気持ちを掻き乱される。

心の底に沈殿してたのに・・。



忘れてたのに、忘れてたのに、忘れたかったのに＿＿＿。



忘れてない。忘れてないの。

忘れようとしていた。



自分はまだ兄ちゃんが好きなくせに

“好きだった。”って言って誤魔化していた。



胸がまた、じんじん。と痛む

おれは、気絶してしまうほど＿＿好きなんだ。



兄ちゃんが、好き。好き。好きなんだ。


もう辛い、もう、嫌だ＿＿＿＿。



「＿＿＿っ。」


苦しい、じんじん。痛む胸を押さえ

早歩きから走り出した。



何故だか悲しくて、ボタボタと涙が零れ落ちる。



俯いて走った、走って走って＿＿

涙を見せないように急いで駅の改札を抜け

俯いたまま電車に飛び乗った。

「んぅ。・・・はぁ。・・」

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