─ BEAST SIDE ─ #2 (ページ45)

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僕は長い時間、食堂で

安井くんにこれまでのことを全て話していた

謙「そっか.. そんなことがあったのか
辛かったな..」

『それから、誰かを好きになるのはもうやめようって決めたんだ

それなのに..』

咲坂さんの言葉が頭から離れなかった

〈なにがあっても、私は岩橋くんの味方だからね〉

簡単に信じちゃいけないって分かってはいるのに

なんでだろう..

みんなに人狼だと確信され、冷たい目で
今夜はお前に投票すると言われたのに

咲坂さんだけは違った

─── 岩橋くんを信じる

彼女だけが、そう言ってくれた

一人から信じてもらえたところで、僕の票数は変わらない

結局、僕は死ぬことになるんだ

そう分かっているのに

咲坂さんの言葉が僕は嬉しかった

固くなっていた心が和らいだ気がした

僕は、咲坂さんに救われたんだ

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謙「だったら、最後まで諦めちゃいけないんじゃないのか？」

『え..？』

謙「咲坂さんのためにも、岩橋は頑張って生き残るべきなんじゃないのか？

咲坂さんが岩橋に投票しないのは少しの可能性に懸けてるからだろ
そうやって、なんとか岩橋を助けようとしてくれてる
なのにお前自身がここで諦めたら、彼女の気持ちを無駄にすることになるんだぞ？」

『わかってる..
でも、そんなこと言ったって..』

僕が本物の占い師だってみんなに説得するのはもう無理だ

岸くんが首輪で死んでいたことで
上条さんが占いの力で狐を殺したと思われてるから

そこで僕が占い師だと主張したって、証拠もなしにみんなが信じるわけない..

こればかりはもう、どうにもならないんだよ..

それに、僕と咲坂さんは陣営が違う

咲坂さんは村人で、僕は人狼..

一緒に生き残ることも出来ない

どっちかは必ず死ぬんだ

それなら、僕が..

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謙「岩橋、」

頭の中でいろいろ考えていると、安井くんが再び口を開いた

謙「自分が死ぬことは絶対に考えるな
生きることだけを考えろ

今夜、なにを言われても自分は占い師だと言い張るんだ
分かったな」

真剣な眼差しで僕にそう言い聞かせる安井くんの言葉に

僕は頷くことも否定することも出来なかった..

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