ナイモノネダリ (ページ26)

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『…ここではいって言ったら、わたし犯罪者だよね？』

「俺が黙ってればバレないよ、そんなの。」

彼のその目を見たら、たとえ自分に不利益な結果になる可能性があると分かっていても、首を横に振ることはできなくて。

簡単に人を信用出来なくなった彼が、私に心を開いて、私を信じて、私とこれからも一緒にいたいって、私と男女の関係になりたいって言ってくれているんだ。

『私と光成だけの秘密、約束できる？』

「なんか前もそんな会話した気がするけど。」

『…それだけお互いにリスクがあることなの。私はもうどうなったっていいけど、光成はまだこれから明るい未来が待ってて、いろんな可能性があるでしょ？それを潰すことだけはしたくない、』

「Aさんがいない未来の方が普通に無理だから。そのために必要ならどんな秘密だって守るし、Aさんのことも絶対に傷つけたりしない、俺が守るから。」

さっきまで、光成の方が不安そうな顔をしていたはずなのに、形勢逆転。

私の手をギュッと握って、あまりにも優しい顔で微笑むから、信じてみてもいいじゃないかって。

彼に私の人生を預けてもいいんじゃないかって。

『…じゃあ、指切りげんまんしよ？』

「いいよ、」

私が出した小指に、光成の小指が絡められる。

『私を光成の彼女にしてください、』

「喜んで。」

『あ、やっぱりおばさんヤダって投げ出すのは許さないからね？』

「そんなことしないよ(笑)」

『ほんとに？同級生に飽きたから、年上フィルターかかってるだけじゃない？』

「そんなことないって、俺にはどんな同級生よりも、どんな綺麗な女優よりも、Aさんが一番かわいく見えてるし、一番綺麗だし、」

『も、もう恥ずかしいから言わなくていいよ、』

真剣な顔をして耳元でそんなことを囁かれれば、なんだか身体がゾクゾクして、また頬に熱が集まるのがわかる。

思わず彼の言葉を遮って、その熱い視線から逃れようとすれば、簡単に腕を捕まえられてしまう。

「…自分から言ったくせに。ほんとにずるいんだから、」

『…ずるいだなんて、んっ、』

また視線が絡められたと気づいた時には、またしても甘い甘い彼の唇がふってくる。

子どもみたいに可愛くないそのキスは、ぼろぼろだった私の心を溶かしていくのに十分すぎるくらい甘かった。

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