疑似恋愛 (ページ9)

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Aside

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「ポーズどうする！？」

「今日なんか寂しい気持ちだからくっつきたいな…」

「どうしたの？可愛いね、ぎゅーしてあげるからおいで？」

バッと手を広げたそうちゃんの胸に飛び込む。

湧にバレたこととか、ママのこととか、色んなことを考えたらもう疲れちゃった。

ぜーんぶ忘れたい、そんな気持ちでそうちゃんにぎゅっと抱きついた。

ちょっとずつそうちゃんが体制を変えてるからそのタイミングで他のメンバーの子がシャッターを切ってくれているのだろう。

今日はなんか、チェキとかどうでも良くて。

ただ、そうちゃんのことが好きだっていう現実だけを感じたかった。

最後の1枚でーす、って声が聞こえてきてその瞬間にそうちゃんのぎゅっと抱きしめる力が強くなって、私の首元に顔を埋めるのがわかる。

「ねっ、そうちゃん擽ったい」

「んー？Aちゃんが元気でますようにっていうおまじないかけてる！」

そう言って頭を私の首にぐりぐりしてるそうちゃんの動きが急に止まる。

「ねえAちゃん…」

「ん？」

「今日なんで遅れたの？」

「えっ…、前の用事が長引いただけだよ？」

「ほんとに？」

「うん。なんで？」

「Aちゃん男の匂いする。」

「え！？」

誰といたのーなんてそのまま首元に顔を埋められたまま言うから耳元がぞぐぞくした。

絶対湧だ。

そうちゃんと会う前にはバイトはしないって決めてるからそうちゃんからしたら私は全く男の匂いがしない子だったはずなのに。

湧そんなキツい香水つけてんの？イキリ過ぎじゃない？

「幼なじみ！急に家に押しかけてきたの！すぐ追い出したけど！」

「…ほんとに？」

「うん、」

「よかったあ！Aちゃんに男が出来たらどうしようかと思った！！」

「…できないから大丈夫だよ。」

「…なんて！？」

「なんでもない、！！明後日また来るね？」

「うん、待ってるー！！気をつけて帰るんだよ？」

そうやって、独占欲のようなものを見せるから。

勘違いしちゃうんだって。

みんなに言ってるってわかってても、嘘だってわかってても、1度ハマったら抜け出せない沼にズブズブと両足が飲み込まれていくんだ。

いわゆる疑似恋愛っていうのかな、これは。

そうちゃんから受け取った10枚のチェキをあっためながら帰る帰り道は行きよりも少しだけ足取りが軽かった。

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