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「…どうしてこんなことになったんだよ。A、そんな奴じゃなかったじゃん？」
「…過去は過去。あの頃の私とは違うの。」
「なにが？AはAでしょ？」
「…湧にはわかんないよっ、一生わかんない。」
「…わかんねえよっ。わかんねーけど、お前が今やってることが良くないことだけはわかる。母さんたち悲しむよ？大事に育ててきた一人娘がこんな事になってるなんて知ったら。」
「湧っていっつもそう。お説教ばっかり。」
「っそれは、お前のこと心配して、」
「うるさい、黙って。」
小さな声で怒りをあらわにしたAに言葉を遮られたと思ったら、唇に違和感。
そのまま腕を引っ張られる。
気づいた時には俺がAを押し倒したような格好になっていて。
言葉を発しようにも唇を塞がれているから喋ることが出来ない。
そろそろ息が続かない、というところで離された彼女の唇は、さっき化粧をしたばかりだからかグロスで光っていて。
それが少しだけ乱れているのが生々しくてぞぐぞくした。
だってそれ、俺のせいでしょ？
どんな流れでこんなことになったんだっけ、って思い出しているうちに下にいるAが口を開く。
その目にはまた涙が滲んでいた。
「ママに言ったら湧に襲われたって言うから。」
「は？お前、」
「…言われたくなかったらもう放っておいて。」
呆気にとられる俺を押しのけてまた向こうの方へ消えていくA。
少しして戻ってきたと思ったら服がこないだ街で会った時と同じようなものに着替えられていて、耳元は揺れるハート型のピアスに付け替えられていた。
「…もう出るから帰って。」
「お前ほんとずるいよな。」
「…もう失うものなんて何も無いから。湧の方こそ慣れてないのバレバレだよ？みんなにいいふらしてもいいの？陽キャでモテモテのはずの湧くんは本当は全然経験が無いうぶだって。」
「はっ！？お前なんでそれを…」
「口、拭いた方が身のためかも。」
そう言ってティッシュを押し付けてそのまま俺を部屋から追い出した。
「もう私のことは放っておいて。ほんとに。」
「いや、お前それは、」
「じゃ、私急いでるから。」
俺と一緒に部屋を出て鍵を閉めたAは、俺の手をすり抜けてそのまま走るように外に出ていった。
手に握らされたティッシュで言われた通り唇を拭うと、さっきのAのグロスがそこについていた。
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りるた.(プロフ) - 颯太くんが結婚式きてからの怒涛のお話が涙止まりませんでした。すごく感動しました、ありがとうございます！！！ (2020年12月6日 16時) (
レス) id: 8b02ed1f3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほの | 作成日時：2020年10月2日 23時
