疑似恋愛 (ページ24)

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颯太side

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Aちゃんのことは見れなかった。

だからずーっと違うところを見ながら話して、最後の最後にAちゃんが立っていた場所に目線を戻したらそこに彼女は居なかった。

怒って出ていっちゃった？

それとも泣かせちゃった？

何度もAちゃんには伝えようと思ったけど言えなかった。

彼女が俺のせいで他のファンの子からよく思われてないの薄々気づいてたし。

メンバーの子に教えてもらったファンの掲示板。

まあAちゃんと俺のこと、あることないこといっぱい書かれてて。

見ちゃいけないと思いつつ、Aちゃんのこと守りたくてどうしたらいいかなって時々掲示板チェックをしてた。

そんな時見つけた、あんまり良くないこと。

"Aはパパ活でしょ？"

"ふうぞくもやってるって聞いたんだけど"

ショックとかそういうのより前に、俺のせい？って気持ちの方が強くて。

俺がアイドルでいる限り、Aちゃんはずっと辛い思いをしなくちゃいけないのかなって思ったら耐えられなかった。

Aちゃんを想うなら俺ができることって1つしかない気がしたんだ。

ちょうど湧と出会ったのもその頃で、湧の話を聞いて決心がついた。

悲しませてごめんねAちゃん。

でも俺バカだからこれくらいしか思いつかなかったんだよ。

大学にも推薦で受かって、最初の1年の学費払うくらいは十分貯金も貯まって。

今がその時だと思った。

大学に入る前に辞めてしまおう。

できれば今日だけ最前にいて欲しくなかったな。

ライブ中もずっとAちゃんと目を合わせると涙が出そうだったんだから。

「そうた、お疲れ様」

「ん、みんなありがとう。」

「今日からお前の列は長くなるな～」

「そう、だといいな。」

こんな俺のわがままを聞いてくれたメンバーがステージからはけてきた俺に次々と労いの言葉をかけてくれて、そうたは列長くなりそうだから早めに準備してってスタッフさんに呼ばれる。

髪をセットし直して、香水を振りかけて、Aちゃん、ちゃんと残ってくれてるかな、そう思いながら特典ブースの方に向かってると途中でちょっとした人だかりができていて。

『え、やだよ私連れて帰るの。』

『でも誰も家知らないもん…。』

何やら揉めているファンの子たちの隙間から覗くと、そこにはぐったりと倒れたAちゃんがいた。

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