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第零幕……バケモノの独白 ページ3

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世界を分けたらバケモノと鬼だけがいた。



"このバケモノめ!"


初めてこの言葉を聞いた時、僕は思わず嗤ってしまった。
人の皮を被った鬼が何を云う、と。
笑顔で他人を裏切り、自分の自己顕示欲と自己嫌悪に振り回され、口を開けば戯言ばかり。
不純物だらけの、汚泥に塗れた下賤な存在の癖に。


その代わり僕は純正物だ。それを醜いと思えるんだもの。そんな事しないんだもの。


異能力があると分かった時、これはこの世で一番純粋な僕への神様からの贈り物だと思った。
この能力は本当に僕にピッタリだった。
呪われた人を見るのは、狂った人を見るのは、化けの皮が剥がれた鬼を見るのは、心の底から楽しかった。


ただ楽しい事を繰り返しただけなのに、僕は少数派だから捕まえられて暗い所へ閉じ込められた。
悲しくはなかった。ただつまらなかった。



母親も父親も僕をバケモノだと罵った。悲しくはなかった。愛していなかったし、正直無関心だったから。
そう、僕は純正物(バケモノ)だから不純物(人の皮を被った鬼)から愛されなかったし、愛せなかった。





でも。本当は。本当の本当は。ちょっとだけ。仮初でも嘘でもいいから。









_____愛されてみたかった。

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作者名: | 作成日時:2019年4月2日 22時

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