【文スト】Ｋの昇天【梶井基次郎】

檸檬がにじゅういち。 ページ21

Happy end
梶「ねぇA。今日不思議な人に会ったよ。

僕が君を殺したも同然なのに彼女は幸せだと思いますよ、だって。」


そう梶井は医療機器に囲まれて動かないAに聞く。


Aは植物人間状態となっていた。


梶「君は僕と会って幸せだった？こうなったとしても」


梶井は返事を聞く代わりにAの頬を撫でようとした。


だが沢山の医療機器に邪魔されて触れることができない。


梶「はは…君に触れることさえ出来ないみたいだ…」


自虐的に笑うと梶井はそっとAの手を握った。


梶「こんなに暖かいのに動かないなんて嘘みたいだ。君、本当は起きてるんじゃないの？」


返事はない。


梶井「もし起きたらこの宇宙大元帥の外交大使様直々に檸檬ケーキを作ってあげよう！

で、二人でテラスとかで食べよう！あ、西館の屋上とかどうかな？植物園みたいになってるんだよ。

君、気に入ると思うな〜ふふふ。そしたら前みたいに、二人で実験しよう。

今度は君も爆弾を作るといい。教えてあげるからさぁ…

ねえ。起きてよ。前みたいに梶井さんってあの笑顔で呼んでよ…お願いだからさぁ…」


梶井の声は後半になるにつれ涙声になっていった。


梶井「……僕はこれで帰るね。早く起きて君が僕に云った言葉、もう一度聞かせてくれ。

じゃあね。

あ、あと僕浮気してないから安心して!!」


ドタドタドタ…と足音が遠ざかっていった。








Aが目を覚まして梶井が興奮して檸檬爆弾を撒き散らすのはまた別の話。


fin

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