【企画小説】道師の戦争 (ページ3)

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乱歩が内心怖がっていると少女の後ろにある扉から軍服に身を包んだ、金髪の青年が入ってきた。

青年は少女に目を向けると

「こら、シェル。そんなんじゃ江戸川さんが混乱するだろ」

とたしなめた。

するとシェルと呼ばれた少女は心底不快だ、というように顔を歪めて視線だけ青年に向けた。

「うるっさいわね、マイマイカブリが。お兄ちゃんには関係ないでしょ？」

「ったくお前はなぁ……何で人を虫に例えて罵倒するんだ」

どうやらこの二人、兄弟のようだ。

二人は少しの間言い争いをしていたが、(シェルが一方的に噛みついていただけ)兄の方が思い出したように乱歩の方を向いた。

「あ……失礼。突然こんな場所に連れてこられてさぞ混乱なさっていることでしょう。俺の名前はエーレン＝シュレーガー＝フォン＝スカーレット。エレンとお呼びください。で、此方が妹の

『シェルナ＝クルーセン＝フォン＝スカーレットよ！シェルと呼んで頂戴！』

……です」

「……はぁ」

乱歩は本当にそれしか言えなかった。

自分が今一番聞きたいのは次に自分がどうなるのかであり、正直なところ今君らの名前はどうでもいいんだ。という気持ちだ。

乱歩が気の抜けた顔をしていると、それを察したようでえれんが慌てて付け足した。

「あ、えと……今から貴方が置かれている状況などを話しますので、此方へどうぞ」

えれんは左手で扉を指した。

乱歩は躊躇うことなく一歩踏み出した。